第六話 オオスライム戦!
「ぬらぁ……」
「出たな、スライム!! ケンジ、分かってんだろな?」
「ハイハイ、分かってますよーっと」
『ケンジのターン:アイテム、薬草!』
一番早く動いたのはケンジ。薬草を自分に使った。
『しかし効果が無かった。ケンジ、HP:301/301』
『タクヤのターン:アイテム、薬草!』
タクヤも薬草を自分に使った。
『しかし効果が無かった。タクヤ、HP:273/273』
「よーし、無事ターン終了」
「タクヤ、慎重過ぎないか? たかがスライム1匹にダイスライム充てて性能チェックとか」
「良いんだよ、倒されたら牧場からも消えちまうんだろ? 味方のモンスター、大事にしてやらないと。よし! 行け!! ダイスライム」
『ダイスライムのターン:戦う、体当たり』
「ぬもももも……ぬっ!!」
タクヤのパーティのダイスライムは、スライムに対して体当たりをぶつけていった。バシャァァッという音と共に、スライムは弾け飛んだ。
『ヒット! スライム、HP:0/12、スライムは倒れた』
「よぉぉおおっし! ナイスだダイスライム!」
「キュゥゥン、キュゥゥン!」
タクヤとタクヤが乗っているドラゴン、ドラコはダイスライムを歓迎した。
「ぬもっ、ぬもっ」
ダイスライムもまんざらでもない様子で喜んでいた。
「おい……」
「!」
「!!」
「!?」
不意に、ケンジがタクヤ達とは双極端の雰囲気で口を開いた。
「こんな雑魚倒した程度で、何をそんなに喜んでいる? 俺はこんな馴れ合いやってるくらいなら、このパーティを抜けさせてもらうぜ?」
「ケンジ……」
「フン!」
「そんなにカッカすんなよぉ。ここに来たのは、何もスライム1匹倒すだけが理由じゃないだぜ?」
「タクヤ、じゃあ何しに来たんだよ?」
「モンスター図鑑を見せるぜ」
ピッと、いう音と共にタクヤは電子書籍の様な、モンスター図鑑を開いた。
「ここ、レアスライムとダイスライムの間に、空欄があるじゃん」
「確かにあるな、タクヤ」
「この項目を埋めて、スライム系制覇するためにここに来たんだ!」
「! なるほどな。装備アイテムのコンプよりも、先にモンスター図鑑を完成させての全クリを目指してんだな」
「そーいうコト。探すぜ! なんたらスライム!!」
「ガサッ!」
『ガサッ!?』
タクヤがスライム探しを宣言してすぐ、近くの草むらから、何かが飛び出す様な音が聞こえてきた。
「何だ!?」
「! ……コイツは……!」
「ぬぬぬもぅ……!」
『オオスライムが現れた!』
「ぬももぅ」
ダイスライムは少々、不安げな表情を浮かべていた。その様子を静かに見つめていたタクヤは、次にケンジに向かって声をかけた。
「俺達で倒してやるか……。行くぞ! ケンジ!!」
「命令すんな!」
しかし呼吸が合わない様で……。
『ケンジのターン:戦う、斬り付ける!!』
「行くぞっ! 光の剣!! 遠隔攻撃に頼るまでもない! 物理でごり押しだぁああ!!!!」
『ヒット! オオスライムHP:15/666』
「チッ、一撃とはいかなかったか。タクヤ、出番」
「おーし、俺に任せんしゃい! 行くぞドラコ!!」
「キュゥゥン!」
タクヤもドラコも意気揚々としており、すぐに戦闘態勢に入った。
『タクヤのターン:戦う、槍で突く!!』
ドラコはタクヤを乗せて天高く舞い上がり、太陽を隠す形で空に移動した。バサッバサッと、翼をたなびかせるドラコ、タクヤの命令でオオスライム目掛けて急降下する。
「行っくぞぉぉおおおおおおおおおお!!」
「キュゥゥウウ!」
タクヤが装備していた、銀の槍、そしてタクヤ達の身体がオオスライムを貫いた。
「バシャァァッ」
『ヒット!! オオスライムHP:0/666、オオスライムは倒れた!』
「おっし、1ターンキル成功だな。ケンジ」
「そうだな、タクヤ!」
タクヤ、ケンジの二人は、オオスライム倒し、パンッとハイタッチを交わした。
「へへっ」
「フ……」
が――、
ハッとするケンジ、現状を把握し、顔真っ赤になった。
「違うぞ! 違うんだからな!!」
「何がだよぉ。あっ、もしかして、照れてる?」
「違う! 違うんだからな!!」
「ぬももぅ……」
言い合う二人に対して一人(1匹?)安心するダイスライムだった。