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第十九話 佐那はシャナ

斎藤佐那――、


彼女は高校2年生で、華の女子高!! とは言えず、学校ではぼっちで、いつも教室の隅でお昼を食べている、そんな高校生活を送っていた。勉強の成績はそれなりに良いが、トップとまではいかないので、誰かから注目されることもなかった。部活動も帰宅部で、友人ができる様なきっかけはほぼ皆無の状態だった。そんなある日、佐那に転機が訪れる。


「『The battle begins on the farm』……?」


それは一本のゲームだった。田舎とファンタジーの世界が混合する中で繰り広げられる冒険、ネットを介した仲間との協力プレイ等、“エモい”要素がふんだんに取り入れられていたため、少々バズっていたゲーム、佐那の目にそのゲームが飛び込んでいた。何となく貯め続けていた貯金をはたいて、佐那はそのゲームを購入した。


(このゲームを通じて、私にも友達が……)




――できなかった……!!




どんくさいポンコツプレイング、何を話せばいいのか、話題を見つけられずに活用できなかったチャット機能にプレイ中の会話等、佐那には敷居の高い要素ばかりがゲーム内にあり――、




「おら! クソシャナ!! これぐらいの敵、一人で倒せ!!」


「す……すいません、た……倒せません」




「おい! クソシャナ!! そのペガサスは遊園地の遊具か!?」


「す……すいません、こら……ペガサスちゃん、言うコトを聞いて!」




普段のどんくささから、パーティの足を引っ張りお荷物状態に……。




ゼト戦では――、


「よし、皆!! シャナを生贄にして、壁にするから、何回かシャナをテキトーに生き返らせて戦うぞー!!」


『おー!!』


パーティの他三人に一致団結され、見事なまでに壁に使われる。




『ゼトを倒した!!』




(く……クリアできた……!! でも私、死んでるし、友達……、できなかった)


ストーリークリアはしたものの、ストーリー中には目標だった友達作りはできず、不本意なプレイングに終わってしまっていた。




そして現在――、


新たな出会いを求めて、ストーリークリア後の状態でゲームをプレイし始めた矢先――、


「はぅあ!!」


『シャナ、HP:0/126、シャナは倒れた』


新たに出会ったプレイヤーに、出会って5分くらいで心無い一言を浴び、ショック死してしまった。




「あーあ、倒れちゃった♪」


「あーあじゃねぇよセルジュ、早く何とかしないと!」


「そんな奴ほっとけよ、タクヤ。構ってたって時間の無駄だ」


「冷てぇな、ケンジ……」




セルジュはマイペース、ケンジは冷血に、タクヤは一人、あたふたしていた。


「ああ、もう! セルジュ! 回復魔法で回復してやってくれ!!」


「りょーかい♪ リライブ!!」


『セルジュ:回復魔法――、リライブ』


セルジュはシャナに対し、杖を振った。シャナの身体は、杖の動きに呼応し、光り輝きだし、HPが回復した。


『シャナ、HP:100/126』


シャナは意識を取り戻した。


「あっ、ありがとうございます!」


「いいよ、シャナちゃん、私の言葉で死んじゃったんだからね♪」


「ハッ(確かに……そうだった……)」


「で? コイツ、どーするんだ? タクヤ」


「シャナ入れたら丁度四人になるし、パーティに入れてやろうぜ? ケンジ」


「い……、良いんで――」




「俺は反対だな」




「はぅあ!!」


シャナが安堵の表情を浮かべようとした矢先、ケンジが心無い一言を声を大にして言った。


「こんな雑魚、パーティに入れたところで、足引っ張るのが落ちだぜ? パーティに入れる必要はない」




「グサッ」




「はぅ!!」


シャナの心のやわかいとこに、ケンジの言葉が突き刺さる。


「まあまあ。そう邪険に扱うなよー、ケンジ。ここで逢ったのも何かの縁、一緒にプレイングしてやろうぜ?」


「タクヤにさーんせい♪」


「おい……! セルジュ」


「2:1だな? ケンジ。それじゃ、決まり!」


「待てタクヤ! 肝心のコイツの意見を聞いてないぞ。おい、シャナとやら! お前は俺達のパーティに入りたいのか!?」


「わ……、私は……(この人達に迷惑を掛けたくない……けど!)」


シャナは目をキッとさせた。




(弱い自分を、変えたい……!!)




シャナはすーはーと、深呼吸した。


「このパーティに、私を入れてください!!」




「決まりだな!」


「ん♪」


「ケッ!」




タクヤ、セルジュ、ケンジと、それぞれ意見は有る様だが――、




『シャナがパーティに加わった!』

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