第十一話 旅の仲間
「成る程、タクヤ君は俺実無印では、私達とパーティを組んでいましたが、俺実外伝ではケンジ君、ダイスライムとパーティを組んでいたんですね!」
ノノがポンっと、左コブシで右手を叩き、納得した様子で話していた。
「そーだけど……誰? アンタら……(後、サラッとメタ発言してんな)」
ケンジの質問に二人は答えた。
「私の名前はノノ! タクヤ君とパーティを組んでストーリークリアをした、魔導士です!」
「私はセルジュ、ノノちゃんと同じく、タクヤとパーティを組んでいた、司祭だよ♪」
「あっそう。ノノに、セルジュね。覚えとくわ」
二人が意気揚々と自己紹介するが、ケンジはそっけなく返した。そこでノノは切り出す。
「年齢が分からないセルジュさんを除いて、私が最年長なんです! タクヤ君は、私を見下していているから無理にしても、ケンジ君は私に対する発言は、敬語にするコト! いいですね!?」
「……やだ」
「ふぁ?」
ケンジからの予想以外の返事に、ノノは目が点になった。
「俺より弱そうな奴に、敬語使いたくない」
「え……(何この子? タクヤ君の弟……? タクヤ君より、節度が無くて態度が悪くて言葉づかいが悪い……)」
絶句したノノは、タクヤにひそひそ声で耳打ちする。
(タクヤ君……あのケンジって子、何者なんですか? ……弟?)
(違うわ! ハリセンで叩いてやろうか? たまたま出会った、大学生だよ)
「大学生!!!?」
タクヤもひそひそ声で返したが、その言葉を聞きノノは思わず大声を出してしまった。耳がキーンとしたタクヤは、ノノに怒鳴るように言う。
「うっせぇわ! 耳元でそんな声出すな!!」
「あっ、ごめんなさい。タクヤ君(私がタクヤ君に向かって謝るコトになるなんて……チキショー! タカヒロ君とのデートも、彼の仕事でキャンセル食らってるのにー!!)」
胸中穏やかではなかったノノだが、そこでケンジにぼそりと話し掛けられた。
「で? レベルとかステータスとかどのくらいなの?」
「わ、私は魔導士ノノ! レベルは39で、HPは224がマックスかな」
「ほら、弱いじゃん」
「!」
ノノがケンジの質問を返したが、ケンジは辛辣な言葉を投げかけてきた。先ほどからのフラストレーションから少々ピキッているノノは、声を大にしてケンジに吠えた!
「さっきから! 失礼な態度ばかり取ってるけど、君は言うほど強いんですか!?」
「自分の目で確かめろよ」
ケンジは左手のひらを軽く上げながら、マイペースでサラリと言い流した。
「じゃあ確認しますよ! 全くもぅ、最近の若い人は……全く全く……」
ノノはステータス画面を確認、ケンジに標準を合わせた。すると――、
『魔剣士、ケンジ:Lv50、HP:301/301』
「レベル……ごじゅう!?」
「ッハ! どうだノノとやら。自分との実力差が分かったか?」
「ぐぬぬ……(性格悪! けど何も言えない(泣))」
更にケンジはセルジュにも話し掛ける。
「そこのセルジュ……と言ったか? お前の実力も大したことないんだろうな」
「言うよりも見せる方が早いよ♪」
「ほう……怖気づいて自分の口からは言えないのか……? まあいい、見せてもらおう」
今度はケンジがステータス画面を確認した。セルジュに標準を合わせる。
すると――、
『司祭、セルジュ:Lv47、HP:???/???』
「!? HP:???/??? !?」
タクヤは悪巧みを浮かべてニヤニヤしながら、ケンジに近付いてくる。
「(よーやくセリフが回ってきたぜ)どーだ? うちの(元)パーティのエース、セルジュは強かろう……?」
(ま、待て……、HP:???/???だと……? 魔将軍ゼトみたいになってる。バグか? 何がどうなってやがる……?)
激しく動揺していたケンジだったが数秒後、一つの答えにたどり着く。
「そ、そうか分かったぞ! セルジュに、おんぶにだっこでストーリークリアしたんだろ!? タクヤも、ノノも!」
「ふっふーん違うだよな♪」
セルジュは前髪を右手でクルクル弄りながら、言った。
「タクヤのパーティ、みーんな強かったよ!」