9話 魔王メグミの成長
自販機作製ギフトのランクアップから2ヶ月半。
安くて美味しい食事を手に入れた僕は、アリの飼育で得たポイントを使って、ダンジョンの攻略難度を上げ続けた。
侵入者が途中で力尽きるよう、凹凸のある広大な砂漠フロアを追加したり、1フロアしかなかった迷路砂漠を増やしたり……
8階層からなる、侵入者対策に特化した迷宮を創り上げたよ。
暑さで脳ミソが溶けそうな場所に……”落とし穴”付きのクイズを、10連続正解しなきゃ通れない道を用意。
「ハズレ」と書かれた紙しか入っていない宝箱も、てんこ盛りの罠と一緒に設置した。
攻略する旨味がないうえ、極限までやる気を削ぐ造りにしてあるから……侵入者は、どこかで諦め撤退してくれるだろう。
ダンジョン名:恵のダンジョン
属性:土
順位:30/30(309/309)
保有ポイント:45826
地脈ポイント:72ポイント/日
階層:8
稼いだポイントの多くを設備投資にあてたから、保有ポイントは魔王になった頃と大差ないけど……
僕の収入は右肩上がりで増え続け……ついこの間、”2万ポイント/日”を突破した!
貯蓄額が同じでも、住居の安全度が日増しに高まり、ご飯もお腹いっぱい食べられるから、今は充実感に満ちている。
「ダンジョン周辺にある”アリの巣”を、ほとんど掘り尽くしちゃったから、今後の成長スピードは鈍化するかもしれないけどね」
まぁ……その時はその時で、また新たな収入源を考えればいいだけだ。
今日は貯めたポイントで、砂漠の真ん中に<灼熱の岩石フロア>を挟もうと思い、9階層目を追加したところ……
<−−− パッパラ〜♪ −−−>
ランクアップを知らせるファンファーレが、頭の中で鳴り響いた。
メグミ(16)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター(見習い)
HP:269/325
MP:10709/10709
スキル:回復魔法B・物理耐性C・精神耐性D
ギフト:自販機作製E→D
その他:称号 (蟻マスター)
「おぉっ、ギフトのランクがDへ上がっている! F→Eの時もそうだったし……階層の追加がランクアップの鍵になっているのは、間違いないようだな」
3階層追加時と9階層追加時にランクアップしたから……次上がるのは18階層追加時、または27階層追加時だろう。
<灼熱の岩石フロア>を整備し、HPの半分をポイントへ交換したあと……自販機作製ギフトDの検証に入る。
“飲み物”と”パン”の自販機を呼び出したところ、飲み物は25種類・パンは10種へ、選択肢が増えていたよ。
〜追加された飲み物〜
ほうじ茶:150ポイント
ジャスミンティー:150ポイント
桃ジュース:200ポイント
マスカットジュース:200ポイント
ミックスジュース:200ポイント
カフェオレ:150ポイント
ココア:150ポイント
スポーツドリンク:150ポイント
飲むヨーグルト:250ポイント
豆乳:250ポイント
〜追加されたパン〜
食パン:200ポイント
あんパン:100ポイント
カレーパン:150ポイント
バケット:150ポイント
卵サンド:200ポイント
「”食パン”っていう大きなパンが、200ポイントで買えるようになったのは嬉しいな。小さく千切って与えれば、アリの餌代を節約できる」
ペットボトルは選べる種類が増えただけで、経済的な恩恵は変わらないけど……追加された10種類の味は気になるから、一度飲んでみるつもりだ。
「新しく創れるようになったのは、”ラーメン”の自販機? 作製するときは、”ラーメン・クリエイト”と唱えれば……」
説明欄を読みながら、書かれている通りの呪文を唱えると……今回は、見たことない容器がならぶ自販機が現れた。
醤油ラーメン:200ポイント
味噌ラーメン:200ポイント
塩ラーメン:200ポイント
豚骨ラーメン:200ポイント
カレーラーメン:200ポイント
「値段は一律200ポイント。どんな物か分からないから、とりあえず”カレーラーメン”っていうのを食べてみよう」
容器に書かれた説明によると……この商品はそのまま食べるのではなく、購入者自身がお湯を注いで作るらしい。
僕は火魔法スキルを持っていないけど、砂漠に照りつける日の光を鏡で集めれば、お湯を用意することくらいできるので、さっそくラーメンを作ってみた。
「コレは素手じゃ食べられそうにないな。スープの中に入っている”麺”というものを、フォークで巻き取ればいいんだろうか?」
恐る恐る食べてみると、スパイシーな香りと独特な味わいが口いっぱいに広がり、パンとは違う幸せを味わうことができた。
「飼育スペースの脇に作った僕専用の岩塩エリアで、塩分は確保できていたけど……しょっぱい味付けの食べ物は、やっぱり食欲をそそるな」
しかもこのラーメン、小さい欠片とはいえ肉が入っている!
自力でモンスターを狩る力などない僕が、砂漠の真ん中で、肉を食べられるとは思わなかったよ。
「他のラーメンの味も気になるな。まだ満腹にはなっていないから、次は”味噌ラーメン”を食べ……」
<−−− ファアァァ〜ン! −−−>
容器に残ったスープをすすりつつ、次買うラーメンを選んでいると、”外敵侵入”を知らせるアラーム鳴り響いた。
「また小型モンスターが、地上から降りてきちゃったのかな? いや、この姿は……長期遠征するときの冒険者」
敵の数は3人。
これまでも、サソリやムカデが迷い込むことはあったけど……ついに、人間の侵入者が現れたか。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)