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89話 男の嫉妬は見苦しい




 地上部から人が居なくなったことを確認した僕は、サーシャに手伝ってもらいながら、残されたアイテムを回収し現場の消毒を行った。


 三国の軍隊を平らげたこともあって、接収品は膨大な量となり、処理するのも大変だったけど……


 “要らない物”をオアシスフロアの住民へプレゼントしたり、ダンジョンに食わせてポイント化することで、なんとか片付けたよ。



 ただ……不用品をポイント化したことで、保有ポイントランキングでも上位にきてしまい……


 「78期のメグミって誰だ!?」と、魔王界隈が騒ついている。



 悪目立ちするのは好きじゃないんだけど、コソコソ隠れるフェーズでもなくなったし、「ランキング税」と思って諦めるしかないよね。


 バレてしまったからには”好き放題”稼ぎ、自分のダンジョンの糧にしよう!



「79期の新人が入ってきたら、先輩の興味はソチラへ移る。僕らが目立つのはそれまでだ」


 今後は、ポイントを使いきり雑魚を演じるのではなく……無理のないダンジョン運営を行う”中堅魔王”として、界隈での立場を切り替えていくよ。



 ちなみに……部下によって<天国と地獄フロア>へ叩き込まれた、「各国の将校」と「ヒステリー聖女」は、2階層へ到着する前に病死した。


 清潔な環境で育てられたエリートで、ささいな菌でも感染症にかかる連中ばかりだから、”金無し”で放り込まれればそうなるのも当然か。



 一番粘ったのが筋肉ダルマの将校ではなく、<回復魔法スキル>を持つ聖女だったには驚いたけど……死んだ事に変わりはない。


 彼女は尻をシバかれまくるうちに気絶して、その間に病原菌の餌食となり、最期は治療もできず弱々しい声でヒスっていたよ。



 自業自得にも関わらず、部下や僕をうらみ怨念をまき散らされると、監視しているコッチまでウンザリしてくるので……


 今まさに死にかけているダンジョン内の残党含め、来世では他者にケンカを売らず、晴耕雨読の日々をおくる聖人にでもなってくれ。






『うぉ〜!! 久しぶりの”お日様”だ〜!!』


『ダンジョンの住み心地も良かったが、やっぱり自然の光が一番だぜ! なんつーか、やわらかさが違う!』



『おぃ、お前ら! 寛いでないで仕事しに行くぞ! ライバルが参入しないうちに、服とズボンを商人へ卸して一儲けだ!』


『そうだぞ。ロマーニュオアシスでパンの到着を待っている、スラムの仲間もいるんだから。俺たちが、早いこと動かねぇとなぁ』


『わりぃ! ちょっと待ってくれ。すぐ準備するわ』



 “フロア入れ替え”で、除菌バッチリの地上部へ戻ったオアシスフロアの住民が、元気に活動する姿を眺めながら、背中の凝りをほぐすために伸びをする。


「ふわぁ、疲れた〜! 稼ぎ時だから頑張ったけど、全身の筋肉バキバキ。2,3日は、何も考えずにダラダラしたいかも」


「そうだね〜。リラックス効果のあるアロマをたいて、メグミ君のベッドでゆっくり休みたいよ」



〜今回の戦いで獲得したもの〜

・討伐軍42000人の滞在ポイント(目算670万P)

・討伐軍41500人の殺害ポイント(2093,8245P)

・軍用テント

・装備一式

・ランプ等のアイテム

・各種ポーション

・現金(約68億ロル)

・兵士用の干し肉etc.


〜損失〜

・破壊された設備の修理費用(49万P)

・消臭液等の購入費用(41万P)

・殺されたモンスターの補填費用(104万P)

・各種トラップの復旧費用(91万P)



 相手する人数の規模が大きくなると、収入・支出ともケタ違いに増えるため、全てを2人で片付けるのは大変だった。


 実務作業はゴーレム君に任せれば、休むことなく正確に処理してくれるんだけど……


 この規模の襲撃がまたあると大変なので、少し落ち着いたらサーシャと相談のうえ、指示出しもこなせるモンスターを購入したい。






「うわっ、メグミ君見てよ! また、ロミオット元殿下が掲示板で暴言はいてる。不愉快なコメントって、消してもらえないのかなぁ?」


「う〜ん。今のところ、そういう機能はないから難しいだろうね。しかし……嫉妬に狂った男は、ここまで見苦しくなれるものなんだな。反面教師にしよう」


「そうだね。しかし……あのとき同盟断って本当によかったよ」



 ミッションと保有ポイントランキングで目立ったため、僕とサーシャの存在に興味を示す魔王が増えてしまい、魔王掲示板は大荒れ。


 <メグミ>と<サーシャ>の専用スレッドが立ち上げられ、書き込みペースも「新人狩り」のとき以上だ。



 “ダンジョンの場所”や”同盟”バレは予想していたけど、嫉妬に狂った78期の連中が、僕らの悪口を書き込みまくるとは思わなかったよ。


 「庶民」とバカにしていた格下に、立場を逆転されたのが死ぬほど悔しいみたい。



 それだけなら実害はないし、「コメントを見た中堅魔王が、勝手に雑魚認定してくれる。ラッキー」と流せるのだが……


 サーシャに同盟を断られた、ロミオット・ホムビッツ・ナステックの<落ちぶれトリオ>が書き込んでいる、コメントの内容が下衆すぎる!



 「必ず追い詰めて犯す!」だの、「死ぬまで孕ませ続ける」だの……元皇族・貴族とは思えないような、頭の悪いケダモノ発言ばかりだ。


 僕に対しては”エロい攻め”をしてくるサーシャも、この書き込みには唖然としており、夜の甘え方が一層激しくなった。



 コイツ等3人は、先輩の手先として僕のダンジョンを狙っているみたいだけど……相手を恨む前に自分の未熟を見つめ直さなきゃ、成果なんて出ないぞ。


 こんな「負け犬トリオ」に攻略されるほど、僕らのダンジョンはヤワじゃないもの。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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