74話 ヴィッチネント王国軍の秘策
ダンジョンの魔改造に勤しんだり、サーシャとイチャラブしていると……「ヴィッチネント王国軍が動いた」という、情報が入った。
ロマーニュ方面に置いた監視用イッシャクムカデも、本能で何かを感じとり「警戒モード」に入っているし、間違いではないだろう。
6541 名前:メグミ(78期)
って事で、コッチは大規模な戦いになりそう。
サーシャの方は大丈夫?
6542 名前:サーシャ(78期)
うん、今のところ平気^^
ランキング対策に保有ポイントを使い切ったら、メグミ君の方へ合流するね♪
2人で協力して、討伐軍に打ち勝とう!!
6543 名前:メグミ(78期)
ありがとう、サーシャm(_ _)m
助かります!
ヴィッチネント王国は、ダンジョンの最寄り街である”ロマーニュオアシス”を、統治している中規模国家であり……
<恵のダンジョン>があるスクレーン砂漠も、地図上では、この国の支配領域となっている。
「まだ全軍が動いたわけじゃなく、規模は10000人ほどらしい。それでも真っ正面からぶつかったら、血みどろの戦争は避けられないから……」
そろそろ、コチラも本格的に動くか。
「ふぅ、オアシスと22階層の入れ替え完了。これで奴らが目にするのは、”汚物の供給源”となる仮設トイレ……そして、ポツンと置かれた自販機だけだ」
ダンジョンの深部へ避難した住民は、最初こそ壁や天井に戸惑っていたけど……
温度・昼夜の間隔など、環境的には地上とほぼ同じ。
未踏破の22階層にあるため、敵が押し寄せてくる可能性も低く、メッセージを送ったらすぐに落ち着いたよ。
「おぃ……。興味本位で、上下の階層を見ようとしている奴がいるぞ。まぁ両方とも<天国と地獄>フロアだから、覗いたところで……あっ、引き返した!」
そりゃあ、そうか。
100人単位で結託して、死ぬほど”お金”と”お尻”を賭けなきゃ進めない「デスゲーム」なんだから、普通の神経している奴は諦めるよね。
「これで、僕の方は準備OK! 気になる点を挙げるとすれば、ロマーニュに集結中の王国軍が、大量のスライムを連れている……という情報だけど……」
スライムは弱いモンスターゆえ、ダンジョン攻略の戦力になどならないし……むしろ、定期的に水をやらなきゃ干からびる”足手まとい”だ。
そんなモノ、一体何に使うつもりだろう?
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〜とある指揮官side〜
「閣下! 水の配給、完了しました! まもなく移動を再開します」
「分かった。ラクダが揺れると気分が悪くなるゆえ、紐を引くときは配慮するように」
「はっ!」
私の名前はロマンス・コンダック。
ヴィッチネント王国から伯爵位をいただく者であり、陸軍准将として、王国軍の指揮を任される立場にある。
今回は、「スクレーン砂漠に凶悪なダンジョンが出現した」という知らせを受け、周辺諸国とともにソレを滅ぼすため、王都から軍を引き連れやってきた。
本格的な攻略は、我が国・モートランド皇国・サーザンド王国の兵が、全て集結してから始める……という約束になっているが……
ロマーニュオアシスで待機中の上官から、「可能なら手柄を独り占めせよ」と指示されてしまったので、他国が来る前に一当てするつもりだ。
「もっとも……兵の集結までに、そう時間はかからないうえ……魔王が鬼畜すぎる! 現実問題として、我が軍だけでの攻略は困難だろう」
なんせ、貴族出身者を肥溜めに落として<ウ○コマン>に変え、噂だけで兵士どもの士気を極限まで下げた、”汚物ダンジョンの主”だからな。
「だが、このダンジョンには隙がある! 魔王が人間時代の”価値観”を捨てられず、砂漠の真ん中で水を売り、大人数での討伐を助長している……という隙が!」
我々三国が手を取り合い、予算度外視で長期滞在しながら潰しにかかれば、"ヤツを素首にする"など容易いことだ。
「くくっ……! まず我々が、ダンジョンに住み着く”裏切り者”を殲滅し……空いた居住スペースを活用するとともに、仮設の神殿を用意する」
そして、後から合流する聖女様に祈りを捧げてもらい、「聖なる力」でダンジョンの成長を止めればいい!
正直言って、あの”高慢ちきなヒステリー女”と一緒に仕事をするなど、苦痛以外の何物でもないが……アレでも、有能な聖女だからな。
彼女の力でダンジョンの抵抗を抑え、モートランド皇国・サーザンド王国の討伐軍と協力して、鬼畜魔王に地獄を見せるぞ!
冒険者ギルドが作製した地図を頼りに、「ダンジョンの所在地」と思われる場所へ到着すると、そこにはオアシスでなく”奇妙な箱”と”トイレ”があった。
「おぃ、ノルマン少尉。炎天下の砂漠にある、この箱とトイレが……貧乏人の言うオアシスなのか? 私には、無人の荒野にしか見えんのだが……」
「いえ。報告によると、約15000人が暮らしており、規模だけならロマーニュオアシスにも迫る勢い……との事です。しかし……」
「…………15000? どこを見渡しても、住民など一人もいないぞ?」
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)