69話 サーシャはメグミを追い詰める
サーシャが「ご飯一緒に食べよう♪」と誘ってくれたので、<未設定のダンジョン>に忘れ物がないか確認してから、転移陣で<恵のダンジョン>へ帰還。
コアルームの隅っこに”絹の布”をしき、料理を盛りつけるためのお皿を、並べてくれていた彼女へ声をかけた。
「待たせちゃってゴメン! サーシャ……唐揚げとかパンとか、適当に出していいかな?」
「うん。出来上がったお惣菜から盛りつけるから、ここら辺に置いてくれると助かります」
「了解! 頑張った”お祝い”だから、甘いドリンクも何種類か出すよ〜」
「ありがとう♪」
今日のサーシャは、薄ピンク色のリボンがかわいい、純白のワンピースを着ている。
シンプルだけど上品なその服は、彼女の端正な顔と……美しい足を引き立てており、控えめに言って「素敵」だ。
「ラーメンとジャムパン、カレーパン……あと、クリームパンも出しておこう。サーシャ、他に希望とかある?」
「う〜ん、もう少し”ホウレン草”が欲しいかな。ふふっ……メグミ君、ピクニックみたいで楽しいね♪ 美味しいご飯いっぱいだ〜!」
「そうだね。今日は満腹になるまで食べちゃおう!」
サーシャ、ごめんなさい……たぶん僕、それどころじゃないかも。
もちろん料理も魅力的だけどさ……それ以上に貴女の笑顔が美しくて、頭がクラクラしてきたんだ。
パパッと準備を済ませたあと、サーシャと「炭酸飲料が入ったグラス」で乾杯し、”ミッション完遂”と”互いの無事”を祝う食事会スタート。
こうやって人と対面で食事するのは、父さんが亡くなったとき以来かもしれない。
「それでさぁ〜。砂漠の中を裸足で歩いていたら……途中で、サラサラの砂に足が埋まっちゃったの。荷物持ちのゴーレム君がいて、ホント助かったよ」
「あはは。この辺りの砂漠は、特にサラサラした砂質なんだって。僕もダンジョンマスターになったとき、試しに歩いて埋もれたことある」
たわいない話をしつつ、食事会は表面上”クリーン”に進む。
だけど僕の脳内は、相変わらずピンク色の妄想でいっぱいだ。
「メグミ君。お喋りしながら食べると、いつもの”唐揚げ”も二倍美味しいね♪」
「うん。そうだね!」
ヤバイ!
サーシャの笑顔や、何気ない仕草一つ一つが魅力的すぎて、ご飯の味が全然分からないよ。
せまい布の上に、向き合って座っている今の状態で、もし身体が下品な反応を示したら……隠すものがなくて彼女にバレちゃうかも。
思い出せ、メグミ!
ハンストン小隊長のケツを思い出して、なんとか気を紛らわせるんだ!
「ねぇメグミ君、折角だから”食べさせ合いっこ”しない? 私、デートみたいな事してみたいなぁ〜」
「えっ? あっうん! 勿論いいけど……」
良くないぞ、なぜOKしたバカ野郎!
ただでさえ余裕がないのに、そっそんな……デートみたいな事したら…………僕は欲望を抑えきれない!
「ありがとう! じゃあ……まず始めに、メグミ君が食べているクリームパン。少しちょーだい♪」
「はっ、ハイ! どうぞ」
なんとか動揺を悟られぬよう、クリームパンを一口サイズにちぎり、サーシャの口元へ運ぶ。
「はむ。うん甘い、美味しい♪」
あのっ……今ちょっと、指先に彼女の唇が……!!
手はコアルームに着いてすぐ洗ったけど、脳内でエロい妄想たれ流している間に、変なニオイとか付いてたりとか……
「じゃあ、次は私の番ね! メグミ君、なに食べたい?」
「え〜っと……なら、カレーパンを」
「はい。アーン♪」
「あ、アーン……」
ちょっ、サーシャさん……そんなに近付いたら、襟の隙間から乳白色のパラダイスが……
「あらら、メグミ君やらしいんだ〜。カラダ、反応しちゃったね♪」
不意に吐息がかかる距離まで近付かれたことで、ハンストン小隊長の尻をイメージしただけじゃ耐えきれず、サーシャに”欲”の反応がバレてしまった。
「うぅ……酷いよ! 今日のサーシャ、ちょっと意地悪だ……。僕を困らせて遊びたいの?」
顔から火が出そうなくらい恥かしい。
サーシャは、そんな悪い子じゃないと思うけど……今僕を籠絡して、なんの意味があるのだろうか?
「ん〜? いや……次は”私の据え膳”でも、食べてもらおうと思ってさ。あまり育ちは良くないけど、こういうのは初めてだよ。どう?」
「えっ!? あの、そんなっ……。サーシャ、自分の身体は大切にしなきゃダメだよ! 僕なんかと交わったところで、君にメリットは……」
「私には、”得”しかないから大丈夫だよ。昔からメグミ君に惚れてたし。ねぇ、もう身体限界みたいだけど……食べないの? 私、それなりに美味しいと思うよ」
サーシャ……
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)