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62話 メグミが幸福感を味わう一方で




「うっ、うぅ……」


「メグミサマ、ナニカゴザイマシタカ? ユウジノサイハ、ナンナリト、オモウシツケクダサイ」


「ありがとうゴーレム君。ひとり言だから、大丈夫だよ。…………ハァ」



 困った……どれだけ考えても、サーシャへ送る”言い訳”が浮かばない。


 こんなクソ野郎、もう嫌われちゃったよね……?



<−−− メッセージが届いています。確認してください −−−>


「あれ、またチャットの通知……? サーシャからだ!」



5189 名前:サーシャ(78期)

 メグミ君、お昼寝中かな?

 そろそろ夕食の時間だし、チャットしながらご飯食べよ♪

 早くミッション終わって、一緒に食事できるといいね^^



 ヤバイ、男のくせに泣きそう。


 元貧乏人で、職業”ウ◯コ使い”の僕に優しくしてくれるサーシャ……超天使。



5190 名前:メグミ(78期)

 ゴメン、ちょっと席外してた!

 食事用意するね^^

 今日は何がいい?


5191 名前:サーシャ(78期)

 ほうれん草・ジャムパン・ストレートティー♪


5192 名前:メグミ(78期)

 了解!

 そっちへ送りました^^



 サーシャ、こんなウ◯コ野郎を気遣ってくれてありがとう。


 今回の件で下がったイメージを回復して、信頼できるパートナーと思ってもらえるよう、精いっぱい頑張るから!!






 サーシャの気遣いで、話すキッカケを掴めた僕は……彼女とご飯を食べながら、互いのダンジョンについて感想を述べ合う。


 僕は昼間ガチ寝しちゃったから、そこまで深く見れてないんだけど……


 <未設定のダンジョン>は攻略しにくいし、クールだけど芯がある、彼女らしいダンジョンだと思ったよ。



 サーシャは”砂漠”に興味があるらしく、明日の朝から22階層を散歩するという。


 22階層は、オアシスフロアとの入れ替え用だから、罠一つないただの砂漠なんだけど……慣れない暑さに苦しまないか心配だ。



5214 名前:メグミ(78期)

 お付きのゴーレムに、必ず水と食料を持たせてね。

 もし夜まで連絡がなかったら、ミッション中断してでも助けに行くから!


5215 名前:サーシャ(78期)

 ふふっ、心配してくれるのは嬉しいけど……

 私、けっこう丈夫だから安心して^^


 あとさぁ、メグミ君。

 昼間に頼んだアレ、お願いできませんか?


5216 名前:メグミ(78期)

 えっ? あぁ、うん……。

 生産力には事欠かないので、サーシャが望むならタダで譲ります。



 二度目の”欲しい”発言!


 あのメッセージは、僕への配慮で書いてくれたと思っていたけど……本気で組み込む気だったんだ。


 サーシャって、案外たくましい子なんだな。






 食後のティータイムを終え、チャット画面を閉じた僕は……情報収集と収益の確認を終わらせ、サーシャの部屋にあるお風呂へ入る。


 乙女の私室に立ち入るなんて失礼だから、遠慮していたんだけど……食事中にコアルームで寝泊まりしているのがバレ、彼女から「使え」と言われたのだ。



「ふわぁ〜、フローラルな香りのシャンプー最高! コッチの石鹸も、バラの香り付きだ。いつもはサーシャが、裸でこのお風呂に……」


 ヤバイ、どうしよう?



 「お風呂共有」とか考えたら、エロい妄想で気分が高まっちゃった!


 このあと歯を磨いたら、待っているのは彼女が愛用している、匂い付きのベッド……



「落ちつけ、落ち着くんだ……僕! ココで発散は、さすがに失礼すぎるぞ!」


 美しさとは無縁のイメージを思い浮かべて、なんとか猛りを鎮めろ!!



「イメージ、醜いもののイメージ……あっ! 元イジメっ子三人組のミッション状況は、どんな感じなのかな?」


 ロミオット・ホムビッツ・ナステックのポイントは、全盛期にはほど遠いものの、かなり良いラインまで回復している。



 とはいえ……一度惨敗した以上、先輩魔王が見逃してくれるとは思えないし……


 奴らの飼い主にあたる先輩……ハイドン・クルス・アリスが、この状況で駒をどう使ってくるのか気になるところだ。




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〜ロミオットside〜




 ハイドンから「戦力不足」と言われた俺は、根城交換ミッションで報酬を獲得するべく、ホムビッツのダンジョンに住まわされていた。


 奴は2人の古株と手を組んでおり、其奴らによって……ホムビッツはナステックのダンジョン……ナステックは、俺のダンジョンを管理させられている。



 もっとも、管理とは名ばかりで……


「ギャハハッ! 人間ども、死ね死ね! ザクロになれっ!」



 俺は、アリス配下のモンスター<バジリスク>に監視されながら、コアルームの端っこで一日中正座。


 管理画面からダンジョンを操っているのは、同じく配下の<サラマンダー>なので、やり甲斐など皆無だ。



「んぁ? おぃロミオット、喜ベ! マスターから、お前に相応しい知らせが来たゾ!」


「なんだ……何ですか? サラマンダー様」



 どうでもいいから、黙って管理モニター覗いてろよ……カス!


 お前らの性格が悪いせいで、俺は心身ともにズタボロなんだ!



「ふっ……。ミッション期間があけた後、国の軍隊が敗れたら突撃する予定の標的、<恵のダンジョン>があるだろ?」


「はい」



「くくっ……! そこの9階層に、”肥溜めフロア”があると分かった。良かったなぁ、掃き溜めの貴様にはお似合いダ」


 はあぁっ!?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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