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59話 根城交換における一番の問題点




 サーシャへ連絡を入れる前に、魔王界の動きを把握するため……掲示板に乱立しているスレッドを、サラサラと読み流していく。


 相変わらず、ポイントランキング上位5名の書き込みはないけど……


 其奴らの金魚のフンと思われる、中堅古株が露骨に張り合っており、話の内容から「全員ミッションに乗り気」だと分かったよ。



「根城交換の方は、スレッドが一切立ってないな。書き込みもないから、やはりコソッと動く魔王が多いのだろう」


 もし信用できる仲間がいない場合でも……この掲示板で愚痴るとカモられるから、大人しく引きこもるしかないしね。



「さっきまで騒いでいたハイドン一味と、スタンピードで余力を残した魔王達も書き込みをやめたか。今は同盟内で、方針決めの会議中かな?」


 ここら辺の上位陣はリソースに余裕があるから、ミッション報酬がウマイと判断すれば、何かしら仕掛けてくると思う。



 少し前まで先輩に搾取されていた元クラスメイトは、今日も強制謝罪コメを書かされたり、先輩のヨイショで忙しそうだ。


 良くも悪くも、彼らには仲介役のボスがいるから……(下僕or搾取対象として)価値アリと判断されたら、ミッションクリアできるかもしれない。



「ふむ、これが最後の書き込みか。今のところ、魔王界に大きな動揺は見られないな。この様子なら、僕も予定どおり動いて大丈夫だろう」


 ただ……78期が加入する前にも、今回と似たようなミッションが開催されていたらしく……


 その経験からこの流れを予測していた魔王が、新人や場当たり的な奴をカモろうと、動く可能性もあるから警戒は必要だ。






 魔王界の動向も把握できたので、同盟チャットでサーシャに連絡を入れ……ダンジョンの改良を終わらせた彼女と、新ミッションを共有。


 配下のモンスターへ「10日間上司が変わる」ことを伝え、ゴタゴタを最小限に抑える必要があるので、その時間を考慮して交換は明日からになったよ。



5157 名前:サーシャ(78期)

 よしっ!

 500万ポイント分の宝石、ソッチへ送りました♪

 確認お願いしますm(_ _)m


5158 名前:メグミ(78期)

 たしかに頂きました^^

 明日、朝イチで”転移陣”を設置します!


5159 名前:サーシャ(78期)

 お願いします!!



 転移陣の購入代金は、収入に余裕のある僕が全額持とうとしたのだが……彼女が「私も払う!」と言ってくれたので、500万ずつ折半することに。


 サーシャになら、”財布代わり”にされてもいいんだけど……「蓄え残ってるから払わせて!」と申し出てくれるあたり、ホント優しい子だよな〜。



5160 名前:サーシャ(78期)

 ふふっ。

 メグミ君に会うの、今から楽しみ♪

 今日はドキドキして眠れないかも^^



 こんな感じで、男心をざわつかせる天然な部分もあるから……


 ロミオット達みたいな勘違いをして、彼女に迷惑をかけぬよう、自制心は必要になるけどね。



5161 名前:メグミ(78期)

 僕も、人に直接会うの久しぶりだから緊張する!

 コミュ障で、上手く喋れなかったらゴメン(^_^;)


5162 名前:サーシャ(78期)

 お互い様だから大丈夫だよ^^

 ミッションとか抜きにして、”転移陣”設置は嬉しいな〜。

 メグミ君……

 根城交換が終わっても、”食事会”とか”ティーブレイク”で、互いのダンジョンを行き来しようね♪


5163 名前:メグミ(78期)

 うん、もちろん!

 信頼し合える仲間として、いい関係を築いていこう^^






 “おやすみ”の挨拶を交わしたあと、サーシャとのチャット画面を閉じ、配下への事情説明と、運営マニュアルの作成にとりかかる。


 今日の彼女は、かなり小悪魔的だったから……恥ずかしい話だけど、頭の中が煩悩でいっぱいだ。



「ふぅ……。平常心、平常心……。男は黙ってマニュアル作り! さてと、各フロアの状況は…………ギャアァァッッ!?」


 ヤバイぞ、大事なことを一つ忘れていた!


 9階層に鎮座する、”恵のダンジョン”の守護神<汚物フロア>の存在を、どうやって誤魔化そう?



「え〜っと……一時的に削除して、根城交換が終わったあと元へ戻すのは……ダメだ! その間に下層階を攻略されたら、この時期に動いた意味がない!」


 目立たぬよう下層階と入れ替えても、勉強熱心な彼女のことだから、舐めるようにダンジョン全てを調べ尽くし、ウ◯コにたどり着いてしまうだろう。



「隠すのは無理そうだし、笑って誤魔化す? いや、でも……サーシャに”ウ◯コマン”扱いされたら、僕立ち直れないんだけど」


 交換までの時間が迫るなか、急に立ちはだかった予想外の問題。



 脳みそフル稼働で考えても、何一つマトモな案を思いつけなかった僕は……仕事を終わらせたあと、悪あがきで9階層だけ監視モニターをOFFに。


 「サーシャがそれに気付かない」という、1%未満の確率に賭け……ベッドの中で延々と、神に祈り続けたのだった。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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