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58話 新たなミッション




5096 名前:サーシャ(78期)

 じゃあ、ダンジョンの改造してきま〜す^^

 細かな調整が終わったら、また連絡するね♪


5097 名前:メグミ(78期)

 うん。無理のない範囲で頑張って!

 ファイト!!



 チャット画面を閉じ、ミルクティーで喉を潤したあと、凝った目と肩をマッサージで揉みほぐす。


 サーシャのダンジョンは、この改造を入れても(実質)10階層しかないから……”深さ”という意味では、まだ心許ない。



 だけど、各フロアのクオリティーが高いので、攻略には時間がかかるはずだし……


 欠点が見つかったら、敵が深部へ到達する前に、対策用の階層を追加すればいいだけ。


 軍資金は人間側が持ってきてくれるから、国や冒険者ギルドが討伐に予算を投じれば投じるほど、ダンジョンの防衛力も高まるだろう。



「あっ。また小銭稼ぎの冒険者が、7階層でマップ作りしている。8階層にも、奴らの仲間がいるな〜」


 “汚物フロア”から先には決して入ってこないので、僕にとって脅威となる敵じゃないけど……ネズミみたいに這い回られると、さすがに不愉快だよね。



 あの冒険者たちは、精度の高いマップを提出することで、身綺麗なまま名誉・報酬を得ようとしているから……


 奴らが立ち去り次第、ダンジョンの表層部を一部作りかえ、提出した地図を紙クズにしてやるか。






「とはいえ……ウ○コマンに続いて、別の連中が内部情報を持ち帰るとなると……」


 それを知った権力者が、好機とばかりに討伐隊を送り込み、ダンジョンを潰そうとしてくる可能性は高い。



 冒険者は(色んな意味で)怯えちゃったから、次やってくるのは国に雇われている軍人……またはレア職の戦闘要員。


 ウチは勇者が攻略に乗り出すほど、凶悪なダンジョンじゃないから、数千人の軍隊でも出して……数で押しつぶそうとするかな?



「いずれにせよ、あると分かっている”汚物フロア”の対策は、何かしらとってくるはず。奴らの出鼻を挫くためには、もう一つ決定打がいる」


 よし、決めた!


 0階層オアシスと1階層の間に<天国と地獄フロア>を差し込み、全員分の入場料を支払ってもらおう。



「オアシスの住民を下層階に避難させる可能性も、現実味を帯びてきた。念のため、避難先の上下にも<天国と地獄フロア>を入れておこう」


 もし住民の中にスパイが紛れ込んでいたり、欲にかられコアルームを目指す者が現れても……金・仲間必須の造りにしておけば、身動き取れないはずだ。






「ふぅ〜、下階層の改良終わり! スタート地点の徴税フロアは、マップ班が帰ったあと差し込むべきだから……」


<−−− ミッションが追加されました。確認してください −−−>



 えっ、このタイミングでミッション追加のお知らせ?


「あぁ、そうか! スタンピードで消耗し、大人しくなった魔王が多いから……報酬付きのミッションを出して、無理矢理動かそうってことね」


 さて、今回はどんなミッションが届いたのかな……!?



〜不定期ミッション〜

【70期〜78期限定!】根城を交換しろ:成果に応じて報酬アリ

【同盟優遇】殺戮ポイントランキングで上位に入れ:上位者にはアイテムプレゼント

魔王と模擬戦をしよう:勝者にレアモンスタープレゼント



「新たに追加されたのは、上の2つ。しかし……どちらのミッションも、エグい事この上ないなぁ」


 要するに、「バカと弱者は滅びろ」って意味だろ?



〜【70期〜78期限定!】根城を交換しろ〜

ライバルのダンジョンを一時的に運営させてもらい、新しい知見を手に入れよう!

*同盟メンバーとの協力可

*1日毎に報酬アリ(最大10日)

*不参加者にはペナルティー



〜【同盟優遇】殺戮ポイントランキングで上位に入れ〜

なりふり構わず敵を殺して、100日間のランキングで上位に食い込め!

同盟を組んでいる場合は、最も順位が高い魔王の成果を共有できる。

*上位30名に豪華アイテムプレゼント

*下位10名にはペナルティー






「殺戮ポイントランキングは、格差拡大とヒエラルキー形成につながる。チームワーク次第では、実力以上の成果を残せるが……」


 酷いチームだと、ミッションを理由に同盟相手(という名前の養分)からモンスターを奪い取り、それを使って上位入賞……なんてパターンもありそうだ。



「若手限定ミッションの方が、よりエグいけどね」


 運営を任せるって事は……自分の心臓同然のダンジョンコアを、ライバルでもある同世代に、いつでも壊せる状態で晒すって意味だぞ?



 いつ相手に裏切られるか分からないし、良い刺激を受け今後に活かすよりも、嫉妬する奴の方が多いからな。


 同世代に信頼できるパートナーがいない魔王は、ペナルティー覚悟でミッションを諦めるか、同じ境遇の相手と組んで殺されると思う。



「そもそもの話だけど……どちらのミッションも、転移陣……かソレを買える財力があること前提の要求」


 ”力ない魔王は滅びろ”を地でいく、容赦ない指令だよ。



「ふ〜。僕個人で考えると、ダンジョン交換・ポイントランキング共に、ペナルティーは付かないと思う」


 ダンジョンの運営権を、サーシャと一時交換するために、必要な転移陣はポイントで買えるし……


 殺戮ランキングも、襲撃者の自滅を見ているだけで下位は免れるはず。



「ただ……僕のダンジョンに押しよせる人間の相手を、サーシャに任せるのは申し訳ないな。危険性はともかく、モニターに映る絵がグロすぎるからね」


 なので、動くなら今……マップ作成班しか活動していないうちに、根城交換ミッションを終わらせるべきだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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