45話 裏で手を引く者
その後も、ゲスい魔王三人組……通称<新人狩り>の会議は続く。
彼らはリソースの多くを対魔王に割き、右も左も分からない新人をカモにすることで、長きに渡り生き残ってきたのだ。
8736 名前:アリス(30期)
ねぇハイドン様。
砂漠の魔王”メグミ”は、リスクをおかさず狩れる相手なのかしら?
順位のわりにポイントの動きが激しかったから、私も注目していたんだけど……もう結構成長しているかもしれないわよ。
8737 名前:クルス(27期)
マジかよ、そりゃ怖いな。
噛みつきそうな相手なら、わざわざ喧嘩を売る必要なんてないが……。
中途半端に成長した新人は、旨みが大きいから迷っちまう。
8738 名前:ハイドン(10期)
くくっ、なにも俺たちだけで狩る必要はない。
砂漠のダンジョンは、人間サイドも警戒しているからな。
其奴らを、利用すればいいだけだ。
8739 名前:アリス(30期)
えっ、そうなの?
ゴメンナサイ。情報収集が甘かったわ。
8740 名前:ハイドン(10期)
ふむ。あのダンジョンに関しては……
最寄り街”ロマーニュ”のバカ領主が、数百人規模の討伐隊を出すも攻略失敗。
今は、冒険者ギルドが動く準備をしているという。
近隣諸国の政府も、その存在を嗅ぎつけたみたいだな。
8741 名前:クルス(27期)
へぇ、なるほど。
という事は……ハイドンさん。
人間サイドに攻め込ませて、弱ったところを俺たちが食うってことか?
もし先に攻略されたら、その時はスルーって感じで……
8742 名前:ハイドン(10期)
あぁ、そうだ!
メグミが消耗している間に、処分する予定のルーキーを突っ込ませ、数の攻めで押しつぶす。
もし奴がコアルームを死守しても、防衛戦で保有資産を削られ瀕死の状態ゆえ、抗う力など残ってはいない。
我ら自身が乗り込んでも、安全というものだ。
8743 名前:アリス(30期)
素晴らしい策ですね、ハイドン様!
放り込むルーキーは、ロミオット・ホムビッツ・ナステック……あたりですか?
以前聞き取り調査したとき、仲悪いと言っていましたし。
8744 名前:ハイドン(10期)
くくっ。
適当に敵対心を煽って、突っ込ませるつもりだ。
飛びつきそうなエサも与えよう。
8745 名前:クルス(27期)
バカは、目の前にエサぶら下げるだけで動くもんな。
押さえているダンジョンコアを壊した時点で、”搾りカス三人組”も死ぬから……どんな約束をしても実質”空手形”だし。
ひゃっは〜。考えるだけで楽しくなってきたぜ!
8746 名前:ハイドン(10期)
うむ。
小利口な魔王”メグミ”は、俺たちがカモにする!
ルーキーの絶望した表情は、いつ見ても最高だからな。
8747 名前:アリス(30期)
事がなった暁には、三人で美味しくいただきましょうね♪
最下位からはい上がったメグミ君が、再び地に落ち涙する姿……ゾクゾクしちゃう。
各々のコアルームで、チャット画面を眺めながら高笑いする”新人狩り”三人。
彼らはその後も議論を続け……綿密な計画を立ててから、ロミオット達のダンジョンを占拠する、配下のモンスターへ指示を出すのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜メグミside〜
「うわあぁぁっっ!? なんだ……夢か。結構時間が経っているな」
日課の情報収集と、ダンジョンの管理作業をしている間に、寝落ちしてしまったようだ。
「オアシスフロアの運営は順調。後から起きてきた連中も、自販機の変化に気付き”お祭り騒ぎ”になっている」
これだけ満足度が高いなら、有事の際も逃げ出さず協力してくれるだろうし……噂が噂を呼んで、民の流入も増えるはずだ。
「地下部分の運営も問題はない。”アリの巣”の数も地味に増えているしね」
さて……寝ている間に、魔王ランキングの変動はあったかな?
第243位:皇帝のダンジョン
属性:火
魔王:ロミオット(78期)
保有ポイント:58,4386
第247位:王佐のダンジョン
属性:風
魔王:ホムビッツ(78期)
保有ポイント:51,0972
第248位:賢臣のダンジョン
属性:土
魔王:ナステック(78期)
保有ポイント:50,0875
「イジメっ子三人組のポイントが、微妙に復活しているな。先輩魔王の搾取から解放されたのか? いや……他のルーキーも、ポイントの動きが不自然だ」
不定期ミッション<スタンピードを起こして街を滅ぼそう>が終わったことと、なにか関係があるのかも。
いや……だとしても、このポイント増加率がおかしい。
再起をはかるルーキーの裏で、陰湿でネットリとした”ナニカ”が動いているような……
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)