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38話 (侵入者が)稼げず・不快で・生きづらい




 不定期ミッションの報酬である“メタルリザードの渦”は、雲から落ちた侵入者にトドメを刺すべく、浮雲フロアの谷底に設置してもらった。


 僕が収入源を増やしている間に、サーシャも創りかけだった4階層とボス部屋を完成させたので、コアルームの安全性はかなり高い状態だ。



3845 名前:サーシャ(78期)

 メグミ君ありがとうm(_ _)m

 メタルリザードの渦、大切にするね^^


3846 名前:メグミ(78期)

 手伝ってもらったお礼だから、気にしないで^^

 お互い頑張ろう!


3847 名前:サーシャ(78期)

 うん!

 めいっぱい活用します^^



 サーシャは今回渡した現金(300万ロル)を使って……新たに対魔王用の階層と、収入源をつくろうとしている。


 地上に人間の居住フロアを用意するのは、彼女の立地だとリスクが高すぎるから、別の方法を考えてみるそうだ。



「彼女から”お返し”に、手編みの靴下貰っちゃったし……オアシスフロアの住民も、干し肉をあげたら喜んでくれた」


 ホッコリする時間をはさんだことで、紛争中グロい映像を見た疲れは取れたから、僕もサーシャに負けぬよう魔王のお仕事頑張るぞ!






 現場から帰ってきたイッシャクムカデ&デザートバードを迎え、メロンパンで彼らの働きをねぎらった僕は……


 2時間ほど仮眠を取った後、日課のデイリーミッションをこなし、魔王界隈の状況を確認。


 今後の方針と、スケジュールを考えていた。



「う〜ん。やり過ぎたバカな魔王が、また人間に逆襲された……か。そろそろ、スタンピード祭りも終わりかな?」


 始めのうちは活気立っていた掲示板も、徐々にミッションクリアした魔王が抜けていき、現在は逃げ遅れたヤツが騒いでいるだけ。


 現時点では、まだ状況は五分五分だけど……じきに頭数が多い人間の方が優勢になるだろう。



「ポイントと掲示板を見るに、ルーキーの粛正も7割方済んだ。搾取できるカモが減った以上、先輩方が次なる獲物を求めて、僕を狙うと考えるのが自然」


 オアシスフロアの噂が広がり、数百人規模の討伐隊まで撃破した以上……ここの所在地がバレるのも、時間の問題だもの。



「だとすると……まずは少数精鋭の彼らから身を守れるような、ダンジョンを創ることが重要! 掲示板の愚痴には、”10名で襲撃”って書いてあったしね」


 ランキングのポイント推移と、今日書き込まれた内容をザッと確かめ、ミッションにも変化がないことを確認した僕は……


 グッと伸びをしたあと、炭酸飲料を飲んで気合を入れ、ダンジョンの改造プランを練り始めた。






ダンジョン名:恵のダンジョン

属性:土

順位:10/22(220/289)

保有ポイント:281536

地脈ポイント:86ポイント/日

階層:12


〜1日あたりの収入〜

現金:約85万ロル

ポイント:約5万(内アリの飼育4万)


〜保有資産額〜

現金:1328万ロル

ポイント:281536



「くくっ、収支に関しては言うことなし! 戦いに勝ったことで更なる人口増加も見込めるから、このままの形で大丈夫だ」


 だけど僕がカモる側の、ベテラン魔王だったら……オアシスフロアを見た段階で収益化のカラクリは分かるし、場合によっては潰そうと思うはず。



 彼らに手出しされると、むき出しのオアシスなんて一瞬で吹き飛びかねないから、暴れられる前に保護するべきだ。


「住民にあらかじめ通知しておき……魔王が攻めてきた段階で、”階層入れ替え機能”を使って、深部の砂漠と入れ替えるのはアリかな?」



 ダンジョンコアを破壊する意思のある、人間が混じっていると危ないから、”入れ替え用のフロア”は最下層から数階上。


 生半可な実力じゃ、上にも下にも移動できない場所に置くのがベストだ。



「怯えるかな? いや……戦闘後に地上へ戻せば、そこまで騒ぎは起きないはず……」


 とりあえず用意ができ次第、宝箱にメッセージカードを仕込み、住民の意見を確認するべきだろう。






「入れ替え用のフロアを創るとなると、全体の階層をもっと増やす必要がある。魔王に対抗するには、どういう形がベストかな?」


 僕のダンジョンは土属性だけど、鬼のようなクイズ迷路を用意したり、ポイズンスライムのプールを造ったりと、別の要素も組み込んである。



「基本的には、滞在時間が長くなるほど難度も上がる仕組みだから、同じ形式でフロアを増やしていくのがいいはずだ。だけど……あっ!」


 そういう意味で言うなら、砂漠フロアを飛行系モンスターに乗って進み、時短されるのが一番嫌だな。



 短時間で突破されると、あまり体力を奪えないし……


 先輩魔王がボス部屋にたどり着いた時点で、僕の負けは確定しているから、その前に足止めすべきだ。



「う〜ん、飛行系モンスターが嫌がる仕組み……。多少の砂嵐程度じゃ、ビクともしないだろうから……油でいくか?」


 オイルスライムを配置することで、羽を油まみれにしてやれば……皮膚呼吸を阻害できるはず。


 それが無理でも、羽の機能を台無しにすることはできるだろう。



「翼タイプの飛行モンスターや、他の高ランクモンスターも、気化した油が充満するフロアを用意しておけば疲れるよね? 少なくとも僕は嫌だ」


 ウチのダンジョンは、「稼げず・不快で・生きづらい」がモットーだから、早速取り入れてみよう!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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