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35話 貧乏人は武器を持っていない?




 オアシスフロアの住人たちが求めているものを探るため、集会場の中央でスピーチしていた代表格の男を、監視システムで追尾する。


 すると彼は元冒険者が集まる区画へ戻り、たくましい身体つきの男と愚痴を言い始めた。



『後がないのは分かっているから、住人仲間のモチベーションは上げているが……実際問題かなり不利だぞ。ロクな武器がねぇからな』


『たしかに。相手だけが剣や槍を持っている状態だし、最前線で戦う奴はもれなく肉壁となって死ぬ。その役目を、引き受けてくれる奴がいるかだが……』



『いるわけ無いだろう、俺だって頼まれてもイヤだ。せめて、兵士を殴り殺せる棒や……そこまでいかずとも、投石用の小石が大量にあれば……』


『小石集めはしているけど、砂漠の真ん中だけあって手頃なサイズがないんだよなぁ〜。投げる前に肩が抜けそうな岩なら、結構転がっているのに』


『ははっ。マジで笑えねぇ』



 ふむ……投石用の小石と、敵を殴り殺せる武器か。


 街の近くダンジョンを構えている、サーシャに手伝ってもらえば、用意するのはそこまで難しくないだろう。



『だが、今回勝てたら旨味は大きいぞ。ロマーニュオアシスに軍事的な余裕なんてないから、1回しのげば暫く安泰だ』


『そうだな。最悪……このペットボトルに砂を詰めれば、投擲武器として使える。犠牲者は出るだろうが、一か八かの勝利に賭けるしかない』



 う〜ん。


 彼らに高性能な装備を渡すと、巡り巡って自分の首を締める可能性があるから、ちょっと怖いけど……


 使える武器が、“砂入りペットボトル”しかないのはあんまりだし、適度なものをたくさん用意しよう。






 支援に関する方針を決めた僕は、サーシャに頼んで、激安装備と投擲用の小石を用意してもらった。


 砂漠のド真ん中にある僕のダンジョンだと、武器関連は高くつくけど……


 街の近くにあり、武器の市場価格が安い彼女のダンジョンなら、何倍も安値で買えるのだ。



 市街地まで行って直接買ってもらえば、壊れかけの金属製武器がもっと安く手に入るけど、今はスタンピードでピリピリしているからやめた。


 サーシャに、「年頃の美少女が、壊れかけの武器を大量に集める」という、不自然極まりない行動をとらせるわけにはいかないからね。



3710 名前:サーシャ(78期)

 これ位でどうかな?

 投擲用の小石はまだ集められるけど、近くにあった手頃なサイズのものは全部拾っちゃったから、納入スピードは遅くなると思う。


3711 名前:メグミ(78期)

 ありがとう、サーシャ。

 これだけあれば充分だよ^^



木の剣:500本(3000P×500本=150万P)

木の槍:300本(3000P×300本=90万P)

小石:4000個

ポーション:1000個(1000P×1000個=100万P)



 かなりの出費になったけど、幸いにも収入が安定しているので工面できた。


 大量の銅貨で買い物することになったサーシャには、申し訳なかったけど……自販機作製ギフトの数少ないデメリットだから許してね。



「よしっ、支援物資関連の帳簿付け完了!」


 あとはコレを宝箱にいれ、オアシスフロアの集会場へ出現させれば……



『うぉっ、なんだこりゃあ!? えっ……おぃ、武器!?』


『そうか! 魔王が、”コレを使って戦え”と言っているんだ。安っちいものばかりだが、無いよりはマシ。討伐軍を滅ぼすチャンスだぞ!』


『『『『『『『『『『おぉ〜!!』』』』』』』』』』



 ふふっ……住民の皆さん、やる気になってくれてなによりです。


 僕は物資支援しか出来ないので、あとの事はよろしくね!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜とある軍人side〜




「る〜るる〜〜。るる〜〜るるる〜〜〜〜♪」


「楽しそうだな。久しぶりの軍人活動でたぎっているのか?」



「あぁ。普段は”軍人”なんて名ばかりで、水汲みや金勘定ばかりしているからな。バカ共を心おきなくブチ殺せると思うと、ゾクゾクするぜ!」


 能力皆無のゴミ人間のくせに、自分たちだけ良いを思いしようと移住しやがった貧乏人には、身の程ってやつを教えてやらねぇとな。



「違いない。っておぃ、そんなに水飲んで大丈夫かよ? 復路で干からびても、俺のは分けてやらねぇぞ」


「平気だって。目的地のオアシスダンジョンには……銅貨一枚で、水とパンを買える装置があるらしい。今好き放題飲んでも、ダンジョンで補給できるさ」



「なるほど。オアシスダンジョンに住みつく、貧乏人の数は多いみたいだが……所詮は、武装する金すらない雑魚の集まり。半日もあれば制圧できるか」


「そうそう。はやくゴミ共を掃除して、むせび泣く奴らの前で水分補給してやるぜ」



 勝ちの決まった戦いで、無駄に気をはる必要はない。


 ゆったり構えていても、明後日の昼には好き放題飲み食いできるし……制圧の手柄も俺たちのもんだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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