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29話 人間とのつき合い方について




 保有ポイントと現金全てを注ぎ込み、創り上げたサーシャのダンジョンは、3階層まで予定どおりのデザインに仕上がった。


 4階層の”浮雲フロア2”とボス部屋は、金欠で真っ白な空間しか買えなかったため……ポイントが貯まり次第、順次創っていくそうだ。



2687 名前:サーシャ(78期)

 メグミ君、協力してくれてありがとう!

 あとね……

 コレ、大したものじゃないんだけど……手伝ってくれたお礼に受け取ってくださいm(_ _)m


2688 名前:メグミ(78期)

 えっ、茶色い鳥?

 飛行タイプのモンスターを、くれるってこと?



 “購入可能なモンスター一覧”で調べたところ……サーシャがくれた鳥は、Dランクモンスター<デザートバード>と判明。


 砂漠に生息するモンスターだから、僕のダンジョンで暮らしていくことも出来ると思うけど……貴重なポイントだぞ?


 僕ヘのプレゼントなんかに、使っちゃって良かったの?



2689 名前:サーシャ(78期)

 うん!

 メグミ君の”砂漠フロア”は、”砂だらけ”って聞いたからさ。

 デザートバードに風を起こさせれば、侵入者に砂をかけられるかなって^^


2690 名前:メグミ(78期)

 なるほど。ありがとう!

 遠慮なく実験させてもらいます^^



 相変わらず、サーシャは優しいなぁ〜。


 同盟特典の一つとして……2人で1000万ポイント支払えば、パートナーのダンジョンへ飛ぶ<転移陣>を買うことができる。


 今はまだ縁遠い話だけど、いずれそれくらい豊かになれれば、互いのダンジョンを見せ合うことも可能に……。






2691 名前:サーシャ(78期)

 ねぇ。メグミ君のところに来ていた侵入者はどうなったの?

 昨日はまだ戦っていたよね。

 もう決着ついた?


2692 名前:メグミ(78期)

 うん。

 情報は抜かれたけど全員倒したよ!



 今回の侵入者は、情報収集特化の4人パーティーで……30分おきに召喚魔法を利用して、情報を外部へ送っていた。


 戦闘力に関しては、前回のBランクパーティーより低かったけど……


 レア職<召喚士>を、”捨て駒”同然に使い潰しているあたり、人間はこのダンジョンを相当警戒していると思った方がいい。



 少しでも情報を得ようと、5階層まで降りてきてくれたから……前回と同じ分断作戦で倒せたが……


 5階層より上の構造は、筆まめな召喚士によって、ほぼ全て人間サイドに知られたと考えるべきだろう。



「不定期ミッションのスタンピードは、3日後から一斉に行われる。参加する魔王も多そうだから、当分の間はそっちへ攻撃が向くとして……」


 問題は、スタンピードが終えたあと。



 被害者遺族の恨みや、不満のはけ口として、周辺諸国が僕のダンジョンを潰そうとするかもしれない。


 そうなると、おちおち”アリの巣”探しもできないから……人間サイドがスタンピードの被害から回復する前に、新たな収入源を確保したいところだ。






 サーシャとのチャットを終えた僕は、”味噌ラーメン”と”醤油ラーメン”を食べたあと、侵入者の所有物で使い道がないものを、ダンジョンへ吸収させ……


 ロミオットがやったと思われる方法で、ポイント変換。


 不用品で、手持ちのポイントを増やした。



「う〜ん。ゴミの有効利用と思えば、悪くはないが……ポイントの交換レートはイマイチだな」


 僕は目利きができないので分からないけど、不用品の見た目と、得られたポイントが一致していなかったのは確かだ。


 小物の交換レートから考えて……店に並んでいる価格というよりは、中古屋の卸価格か、材料の原価が基準になっているのだろう。



「まぁいいや。保有ポイントは70万。奪った現金と合わせたら、手持ちの資産は140万ロル分もある」


 これを使ってできる、収入源確保と侵入者対策を……。






「ん? ちょっと待てよ。このダンジョンの場所は、もう人間サイドに知られており、今後攻められる可能性も高い」


 という事は……迎撃に特化するより、人間の行動を利用する方がいいんじゃないか?



 魔王転生したときと違い、ダンジョンの防衛力が上がった今なら、多少の襲撃には耐えられる。


 つまり、ある程度は人間の侵入を許容して……1人あたりの生命エネルギーが大きい、人間でポイントを稼ぐ方が得なんじゃ……?



「人を殺しすぎたら、危険なダンジョンと判断されて討伐隊がやってくる。だけど奴らに、”利用する方が得”だと判断されれば?」


 たとえば、地表部……1階層をオアシスにして、そこに関しては手出し無用とする。



 水・食料・休憩ポイントがそろう、旅人にとって”憩いの場所”を提供してやれば……ダンジョン討伐は中止。


 少なくとも、計画先送りにはなるだろう。



「そして上層部が会議している間に、一般市民へ”オアシス”のイメージを植え付け……彼らの支持を得てしまえば、本格的に狙われるリスクは下がるはずだ!」


 ついでに宿を用意してやれば、長期滞在で”滞在ポイント”も稼げるから、新たな収入源になるんじゃないか?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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