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24話 元皇太子ロミオットは憤る


〜ロミオットside〜




 ルールベル皇国の次期皇帝として、ラヴィレンス高等学園で研磨を積んでいた俺は……ある日突然、クラスメイトと共に魔王転生することとなった。


 相手の了承を得ることもなく、強引に事を運ぶやり口には不満を持ったが、父上の小言にもウンザリしていたので丁度いい。



「俺はもう、皇帝になるだけの力を持っている。父上の存在は邪魔だ!」


 自分自身の力で道を切りひらき、皇帝に相応しいダンジョンを作る機会を得たと、前向きに考えてやるよ。



「俺は火魔法を得意とする魔法師だから、ギフトは”火魔法の才”にするべきだな。ダンジョンの場所も、炎と関連のあるところを選ぼう」


 皇帝として相応しいダンジョンを作り上げるために、賢明なる策を立てた俺は、万全の状態で魔王へ転生した。



 魔王になってからの100日間は、今までで一番忙しい日々だったと思う。


 “皇帝のダンジョン”の名前どおり……いかなる者をも燃やし尽くす高ランクモンスターを、ボス部屋と深い階層へ配置。


 外観にもこだわり、一目で愚民を跪かせるような猛々しさを表現した。



「くっ、くっ、くっ……! 頑張りすぎて3kgも痩せてしまったが、その甲斐はあった。俺のダンジョンに死角はない!!」


 そして……転生から100日、俺は他の魔王と言葉をかわすことになる。






第49位:皇帝のダンジョン

属性:火

魔王:ロミオット(78期)

保有ポイント:10,3458,3675



「ふむ、悪くないな。1位じゃないのは不満だが、上位のダンジョンは古株ばかり。取り組む期間が長いのだから、成果が出やすいのは当然だ」


 78期の中ではもちろんのこと、70期台全ての魔王を差し置いて俺がトップ。


 転生100日という不利を加味すれば、上々の結果と言えるだろう。



「古株のジジイ共は、これから一人一人抜けばいい。俺は才気あふれる魔王皇帝なのだから!」


 おや?



 ”掲示板機能”というものが追加されているな。


 上位者たるこの俺が、下賤の者と語らうなど時間のムダだが……今は誰かに、この愉快な気持ちを共有したい。



「くくっ、いいだろう」


 第49位のロミオット様が、下位層のたまり場へ降臨してやる!






385 名前:ロミオット(78期)

 >>384

 ふざけるな!

 100位にも入っていない雑魚魔王が、49位のロミオット様にさからうな!

 この俺にかかれば、貴様など一瞬で終わりだ!


386 名前:ネスミ(71期)

 >>385

 金持ちだっただけの新入りがウケるww

 お父さんの財力で順位上げただけでしょ?


387 名前:コススギ(71期)

 >>386

 逆らいたい年頃の坊ちゃんに、本当のこと言ってやるなよ


 >>385

 ダンジョンはどこに置いたんだ?

 パパが守ってくれそうな実家の中?


388 名前:ロミオット(78期)

 >>386,387

 いい加減にしろ、サディス活火山だ!

 この俺が、実家の力など借りるわけないだろう!



 掲示板に巣食う魔王は、自分の実力を認識できない愚者……どころか、それを棚上げして上位者を貶めるゴミばかりだった。


 不愉快きわまりないので、機能自体を抹消したいところだが……その前にこの愚民共へ、俺の偉大さを知らしめなければ!



356 名前:ホムビッツ(78期)

 >>355

 上位30位に入るなんて凄いですね!

 先輩、私何も知らないから色々教えてくださいm(_ _)m

 頼れる方がいないんです……


357 名前:サイモン(26期)

 >>356

 勿論いいよ。

 バカな皇太子の取り巻きなんて辛かっただろう。

 ダンジョンの所在地を教えてくれたら、暇なとき先生しに行くけど……どうする?



「くそっ、ホムビッツの野郎。俺から上位の魔王へ、鞍替えしやがったな!」


 今に見ていろ。


 貴様のその決断……皇帝の威信にかけて、必ず後悔させてやる!!



<−−− ミッションで居場所を突き止められた魔王は、ペナルティーとして一定の情報が開示されます。公開範囲は報告数によって変わりますので、これを機に反省し、今後はリスク管理を徹底してください −−−>


「ふんっ。だからどうした?」


 情報を公開される程度で、この俺が怖気付くわけないだろう!



 敵に情報を与えぬ方が良い、というのは知っているが……魔王全体でも上位に君臨する”皇帝のダンジョン”が、その程度で揺らぐ事などない!


 寄ってたかって、俺様の気分を害するな!!






「マオウサマ。ブキノトリマトメ、オワリマシタ」


「うむ。ひき続き励め」



 愚民共に、己が分を教えてやるため……俺は今、ダンジョン攻めの準備をしている。


 最初に攻めるのは、俺を裏切り上位の古株についた、元側近のホムビッツとナステック。


 奴等のダンジョンは特定できているので……遠いことさえ除けば、攻め滅ぼすのは簡単だ。



「居場所の密告はしてやったが、それだけじゃ腹の虫がおさまらん!」


 面影がなくなるまで顔を殴り、足で頭を踏みつけてやる!



 二人の始末が終わったら……次は、掲示板で俺をバカにした魔王共。


 奴等は居場所が分からないので、情報が入り次第攻め滅ぼすべきだろう。



「そして……ドベに近い順位のくせに、俺の誘いを断ったサーシャ・バークレー」


 アイツに関しては、コアルームで”ダンジョンコアの破壊”をチラつかせながら、廃人になるまで犯してやる。


「あ、あぁ……少々催したな。このゾクゾクする猛りを沈めなければ……?」



<−−− ファアァァ〜ン! −−−>


<−−− 貴方より上位の魔王が、ダンジョンに侵入しました。警戒を強めてください −−−>

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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