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21話 メグミとサーシャは語らう


〜サーシャside〜




「ふぅ〜〜〜」


 心を落ち着かせるために深呼吸してから……彼らが私に、同盟申請してくれた理由を考える。



「皇太子一派は、100%カラダ目当てだよね? ランキング下位の私に、上位の彼らが近付くメリットなんて他にないもん」


 なんというか……不愉快だし、応じるの嫌だな。



 学生時代なら屈辱に耐えてでも、彼らの庇護下へ入っただろうけど……今はそこまでして生きたいと思わないので、メグミ君以外の申し出を断った。


 たとえこの先不利になるとしても、これ以上、自分の気持ちに嘘はつきたくなかったのだ。



「う〜ん。メグミ君も、私をエッチな目で見ていたのかなぁ? どちらかというと、無視されていた気がするんだけど」


 彼だって思春期の男子だから、そういう欲は持っていて当然だし……もし私のカラダを見て、エッチな妄想とかしていたら……



「きゃぁ、恥ずかしいよぅ! ダメダメ、そういう事は考えないもん!」


 今は、”彼から同盟申請がきた”という事実だけ受け止めて……その上で、私がどう返すか考えるべきだ。



「何の役にも立たない私が、メグミ君と同盟を組む資格なんてあるのかな? ポイント以外の資産も込みなら、たぶん今……私が最下位だよね?」


 だけど一人でもやっていけそうな彼が、わざわざ申請してくれたってことは、相応の理由があるはず。



「それって何だろう……あっ、ダメだ! 注釈のところに、“同盟申請を断られた場合、その後1カ月は申請権を失う”って書いてある」


 つまり私が同盟を断ると、メグミ君はペナルティーを受けちゃうから、他の魔王より不利な立場に……。



「よし、決めた! 理由は分からないけど、メグミ君の打診を受けよう! 彼が困るのは嫌だもん!」


 そう思った私は、ささいな感情論など投げ捨てて、大慌てで申請受理のボタンを押した。






 画面に表示された”同盟成立”のメッセージを見て、メグミ君とどう話せばいいのか迷ううちに、早速1件のチャットが……。


1 名前:メグミ(78期)

 サーシャ様、お久しぶりです。

 お元気にしていますか?



「わわっ、どうしよう? メグミ君からだ! とにかく、お返事しなきゃダメだよね?」


2 名前:サーシャ(78期)

 お久しぶりです。

 私は、それなりにやっていますよ。

 メグミ君は、いかがお過ごしですか?


3 名前:メグミ(78期)

 僕も楽しく暮らしています。

 サーシャ様、同盟を組んでくれてありがとうございますm(_ _)m



 学生時代の関係性が酷かったので、なにを話せばいいか分からなかったけど……


 メグミ君とチャットをしているうちに、心が解れ……少しずつ本音を書き込めるようになった。



159 名前:メグミ(78期)

 今は先輩魔王が、僕たち新人を食い荒らしている最中なんだ。

 サーシャ様、食べられないように注意してね!


 彼は雑談を交えながら、魔王転生の経緯やクラスメイトのことなど、私が知らなかった情報を教えてくれる。



 転生時に気絶していた私のことを、心配してくれたこと。


 「”未設定のダンジョン”という文字を見て不安に思い、チャット機能を使うため同盟を打診した」という、理由を聞いたときには……


 彼の優しさで心が満たされ、ホワホワした気持ちになったよ。






160 名前:サーシャ(78期)

 そっかぁ。

 あとメグミ君、この前はゴメンね。



 できたら、このままずっと話していたい。


 だけど、流れに任せて誤魔化すのは虫が良すぎるので……一通りの説明を受けたあと、私は彼へ伝えたかった謝罪を言葉にした。



161 名前:メグミ(78期)

 この前って?

 魔王転生する直前のこと?


162 名前:サーシャ(78期)

 えっとね……メグミ君、色々嫌がらせされていたでしょ?

 半年間も、見て見ぬフリしてごめんなさい。

 殿下に突っかかったのも、結局迷惑かけちゃったし。



「メグミ君、”蒸し返すな”って怒るかな。一方的に謝っておいてなんだけど、こういう謝罪って、”罪の帳消し”を求めているようにも取れるから……」


 表面上は流してくれても、心の中では不快に思うかも。



163 名前:メグミ(78期)

 不利益を被ったサーシャ様には悪いけど、僕はすごく嬉しかったよ。

 クラスの中に一人でも、僕を庇ってくれる人がいるんだって。

 サーシャ様、あの時はありがとね。


 予想とは裏腹に……メグミ君は心のこもった文章で、私の行いを肯定してくれた。



 彼が許してくれたからといって、私の犯した罪が消えるわけじゃないけど……迷惑をかけられてもなお、「嬉しい」と言ってくれた彼の優しさ。


 そして、決心するまで半年もかかったけど……皇太子一派に逆らって良かったという気持ちで、涙があふれてしまう。



183 名前:メグミ(78期)

 サーシャ様。

 僕たち同盟、成立ってことでいいよね?


184 名前:サーシャ(78期)

 はい。

 ふつつか者ですが、よろしくお願いします。

 メグミ君。私の名前、呼び捨てでいいよ。


185 名前:メグミ(78期)

 了解。

 サーシャ、これからよろしく!

 二人で一緒に頑張っていこうね!


186 名前:サーシャ(78期)

 はい^^

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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