18話 掲示板をどう使うかは魔王次第
同盟申請を受けてもらうにしても、断られるにしても、相手からのアクションがないと動けないので……
僕はサーシャ様からの返事を待つ間に、よく分からず後回しにしていた、”魔王掲示板”機能を確かめることに。
「うわっ、短い文章がグチャグチャに並んでいる。へぇ……これが掲示板のテーマになっていて、押すと”スレッド”という場所に飛べるのか」
魔王掲示板を見てみると、スレッドと呼ばれる選択肢が無数にあり……試しに一つ選んでみると、無秩序な書き込みが流れるページへ飛んだ。
1 名前:ハインズ(49期)
不定期ミッション出てるから、スタンピードの作戦会議しようぜ。
皆で協力して、少ないリスクで報酬をゲットしよう!
2 名前:ツミッター(66期)
やるやる。メチャ待ってた!
3 名前:ゴフリン(38期)
俺も参加させてくれ
モンスター増やしすぎて維持費ヤバイんだ
4 名前:アクセル(54期)
>>3
38期で管理ミスは論外だろ
俺も似たような状況だからやるわ_:(´ཀ`) ∠):
5 名前:ゴフリン(38期)
>>4
54期ww
考えて動かねぇと底辺になるぞ
俺が実証済みだd( ̄  ̄)
「なるほど。魔王なら誰でも書き込める形式の、コミュニケーションツールなのか。ハマると時間が潰れそうだけど、使いようによっては便利だな」
これを利用すれば……魔王界のトレンドや、ダンジョン運営のコツが分かるかもしれない!
せっかくなので、もう少し覗いてみよう。
1 名前:クルス(27期)
不定期ミッションの"新人売り"
報酬欲しいヤツ集まれ!
皆、情報共有してケロ
2 名前:ツミッター(66期)
>>1
お前も教えろよ
ベテランのくせに集るんじゃねぇ!
7 名前:クルス(27期)
もちろん!
ウチの近くに一人来たっぽいから、今調査中
8 名前:アリス(30期)
うわ、超知りたいww
私も新人の頃カモられたから、養分にしてやるわ
「しかし……話している内容が、とんでもなくゲスいな。デイリーミッションクリアのために、1日1回は書き込むつもりだが……」
下手に目を付けられると面倒なので、雰囲気に慣れるまでは極力参加せず、情報収集だけさせてもらおう。
385 名前:ロミオット(78期)
>>384
ふざけるな!
100位にも入っていない雑魚魔王が、49位のロミオット様にさからうな!
この俺にかかれば、貴様など一瞬で終わりだ!
386 名前:ネスミ(71期)
>>385
金持ちだっただけの新入りがウケるww
お父さんの財力で順位上げただけでしょ?
387 名前:コススギ(71期)
>>386
逆らいたい年頃の坊ちゃんに、本当のこと言ってやるなよ
>>385
ダンジョンはどこに置いたんだ?
パパが守ってくれそうな実家の中?
388 名前:ロミオット(78期)
>>386,387
いい加減にしろ、サディス活火山だ!
この俺が、実家の力など借りるわけないだろう!
「お〜、早速ハデに自爆しているな。先輩魔王の安い挑発にのって……誰でも閲覧できる掲示板で、ダンジョンの所在地を暴露するなよ」
誰かが証拠取りした時点で、不定期ミッションの”カモ”決定だぞ?
28 名前:クルス(27期)
ロミオットって新人、ゲロったぞ
近くのヤツ裏取ってくれ
35 名前:ハヤブサ(44期)
>>28
俺行くわ
39 名前:ハヤブサ(44期)
>>28
特定完了!
皇帝のダンジョン
魔王:ロミオット(78期)
所在地:サディス火山の麓
密告地点番号:BG1584-3
41 名前:クルス(27期)
>>39
ナイス!
一覧用のスレッドに載せておくぜ
「あらら、”イジメっ子A”が詰んだ。証拠取りのタイミング的に、先輩方もこの掲示板を使って情報収集しているみたいだな」
せっかくだし、僕もおこぼれに預からせてもらうよ。
不定期ミッション<ルーキーの居場所を突き止めよう>を達成するため、魔王掲示板に書かれたロミオットの地点番号を、記入・報告する。
情報を書き込んだ魔王ハヤブサが、嘘をついている可能性もあるけど……実名をさらした状態で、恨みを買うような真似はしないだろう。
「くくっ。”イジメっ子A”なら罪悪感なく売れるし、僕だって目の前に落ちている報酬は欲しいからね。さてさて、どんなアイテムが届くかな〜」
報告を終えワクワクしながら待っていると、ミッションクリアのメッセージが届き、ダンジョンコアから1本のスクロールが排出された。
火魔法Fのスクロール
詳細:誰でも火魔法スキル<F>を習得できるスクロール。
1回で壊れる使い切りタイプ。
「うわぁっ! 夢にまで見た、魔法のスクロール! えっ、こんな簡単に貰っちゃっていいの!?」
たとえスキルランク<F>だろうと、回復魔法しか使えない僕にとっては、喉から手が出るほど欲しい物。
魔法のスクロールは、ダンジョンの宝箱から稀に獲得でき、市場にも流通していたけど……
取引価格が異常に高く、どう頑張っても買えそうになかったから、「庶民には縁遠い」と諦めていたんだよね。
「ロミオット君、今回ばかりは感謝するよ。君を踏み台にして、僕は火魔法使いになる!」
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)