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12話 Bランク冒険者vs恵のダンジョン




「よっしゃあ、フロアの組み替え完了!」


 今までどおりの方法でポイント収入を得ながら、ダンジョンの魔改造に励むこと5日。



 ボス部屋を任せる予定のミスリルゴーレムは、まだポイント不足で購入できていないけど……


 侵入者対策のカギとなる、”毒ガスフロア”と”分断の仕掛け”は設置し終えたよ。



ダンジョン名:恵のダンジョン

属性:土

順位:29/29(308/308)

保有ポイント:10524

地脈ポイント:76ポイント/日

階層:10



0階層:地上部。監視のためエリアを掌握

1階層:砂漠フロア

2〜3階層:クイズ付き立体迷路

4階層:灼熱の岩石フロア

5〜6階層:クイズ付き立体迷路(分断仕様)

7階層:毒ガス砂漠(イッシャクムカデ担当)

8階層:毒ガス迷路(スライム担当)

9階層:ボス部屋(現在空室)・アリの飼育場・居住空間



 1体召喚するのに10万ポイント必要な、ミスリルゴーレムを呼べていないので、多少の不安は残るけど……構造的にはかなり安全になったはず。


 これなら少数の侵入者や、迷い込んだモンスターだけでなく、数十人規模の討伐隊に襲われても耐えきれるだろう。



「おや? 噂をすれば、敵が来たみたいだな。この前より強そうな、4人構成の冒険者パーティー」


 明確な意思を持って、ダンジョンに近付いてきたから……この前の連中から報告を受け、冒険者ギルドが派遣した調査隊かもしれない。




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〜冒険者side〜




 俺たちは、ヴィッチネント王国所属のBランクパーティー<砂漠の水神>。


 後輩が砂漠の中で発見した、一風変わったダンジョンを調べるため……冒険者ギルドから指名依頼を受けて、ここへ来た。



「聞いていたとおりの砂漠仕様。このダンジョンは”夜モード”にならないから、暑さと水の枯渇がヤバイんだよな?」


「あぁ。だから”水魔法スキル”持ちの俺たちに、指名依頼が入ったんだろう。飲み水に不安がある状態じゃ、調査なんて出来やしない」



 世界各地に点在するダンジョンは……悪に取り憑かれた一般人がある日突然魔王となり、人類を滅ぼすために創り出したもの、と言われているが……


 砂漠のド真ん中にダンジョンを置き、狡猾な手段で攻略を妨げるココは、旅人や商人にとって脅威となる。



「宝箱には紙しか入っておらず、モンスターもいない状態。いわゆる”赤字ダンジョン”だから、割に合う仕事じゃねぇけど……」


 モンスターによる人攫いで、砂漠の物流ルートを止められてから慌てても遅いんだ。


 厄介の種は、小さいうちに処理しないといけない。






 3日間かけて5階層までたどり着いた俺たちは、既視感のある迷路を攻略していた。


 このダンジョンは確かに過酷だけど、水と食料さえ潤沢に用意できれば、特筆して怖いところはない。



 無理なく潜れる階層まで調査して、あとは討伐隊に任せるつもりだったが……この分なら俺たちだけで、最下層まで攻略できるかもしれないな。


「さて次のクイズは……っておい、マジかよ……。人数制限はズルすぎるだろう!」



<−−− ここから先の10問は、一人ずつ回答していただきます。制限時間がありますので、自信のある方から先へ進んでください −−−>



「リーダーどうする? 一旦戻って、ギルドへ報告するか?」


「そうだな。俺たちじゃ、4人全員・全問正解は厳しい。いや、だけど……このダンジョンには、殺傷性のトラップがないから……。決めた、調査続行だ!」


「「「了解」」」



 もし先へ進むのが難しかったり、大怪我をした場合は……この場所まで引き返し、仲間の合流を待って退却すればいい。


 俺たちは、ベテランのBランクパーティー。


 たとえ指示を出す人間がいなくても、状況に応じた判断くらい各自で出来るさ。






 仲間のモチベーションを上げるために、リーダーが一番乗りするべき場面なので……俺は心にくすぶる微かな不安に蓋をして、先陣をきった。


 バカだから全問正解する自信はねぇけど、ポーションの備えは万全だし、なんとかなるだろう。



<−−− 第1問 親を困らせてばかりの、15歳の不良少年がいます。彼は10年後どうなっているでしょう? −−−>


 はぁ?


 こんなの、決まった答えなんざねぇよ!!



「まぁいいか。親に見捨てられ、日銭稼ぎの冒険者になっている」


<−−− お通りください −−−>


「おぃおぃ、こんなんでいいのかよ。イマイチ納得いかねぇが、正解扱いってなら先へ進むか」



<−−− 第5問 紙に円を描くとき、必ず使う文房具はなんでしょう? −−−>


「円を書くときに使うのはコンパスだ。今回は結構簡単だったな」


<−−− お通りください −−−>



 疑問点こそあるものの、俺は全問正解の状態で、最終問題が記された扉へたどり着いた。


<−−− 第10問 このクイズに挑んだ貴方の仲間は、何人生き残っているでしょう? −−−>



 まったく……人をイラつかせる、悪趣味な問題だな。


「3人だ! この難易度なら、脱落するヤツなんていない!」



<−−− 最終結果を発表します。回答者ボツリフ、10問中0問正解。黄泉の旅へご案内します −−−>


 なんだと!?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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