武闘祭①
2週間ほどしたある日、全校生徒が行動に集められた。副学院長のお爺さんが壇上に立ち、話始める。
「来月、学院対抗武闘祭が開催される。皆も知っている通り、これはこの国において、50年近く続いている伝統の行事だ。普段なら各学院から優秀者5人を選抜して、戦ってもらう。」
普段なら?ということは今回は違うのか?
「だが今回は違う。ただでさえこの、連合学院が去年優勝してしまった。そこに人外が3人も入ってきてしまったのだ。」
その瞬間、全校生徒の目線が俺たち3人の方に向く。確かに俺とアテネが以上なのを認めるが…。ヘレネはまだギリギリ人だろ。
「そのため、ほかの学院から3人を出さないように要望を受けた。」
「だが、これでは連合学院にメリットはない。そこでだ。3人にいまから1年のSクラスの生徒に特訓を付けてもらう。その中から5人が武闘祭に出場し、全勝したならこの学院が大陸武闘総合大会の出場権を得る。こう決着がついた。ほかの学年の生徒には申し訳ないが、代替措置は用意する。今回はこの方式で行うこととする。以上だ。」
副学院長が説明を終える。話をまとめると、俺がクラスメイトを育てるということでいいんだよな?やるからには全力でやらせてもらうが、大役を任されたような気が…。
俺はまず、全員を集める。
「というわけで、俺ら3人でお前らを少なくともヘレネといい勝負ができるぐらいまでは強くする。それでいいか?」
全力で1か月鍛えれば、人から脱出できる。が、そこまですると武闘祭がつまらないことになるので、流石にそれはしない。
「ちょっとセルス?どうやって鍛えるの?ヘレネとの特訓みたいなことをするの?」
「流石にあれはやらないよ。まあ、手っ取り早く強くなるにはあの空間内でただひたすら練習させた後に、魔の森に放り込むのが一番じゃないか?」
「そうだね。」
「それじゃみんな死んじゃう気が…。」
「ん?どうしたのヘレネ?」
「い、いや。なんでもないよ。」
ヘレネは何が言いたかったんだろう。たとえ死んじゃっても生き返らせればいいよね!
「じゃあ早速。ヘレネとの特訓に使った亜空間でそうだな…。1年ぐらい休まず特訓してね。休んだら死んだほうがましと思えるような罰が待ってるから。頑張てね。」
全員、亜空間に放り込む。
「さて、俺らも練習するか。」
~亜空間内にて~
皆、死にそうな目をしている。まだ半日しかたってない。なぜだ。精神が弱すぎる。
「セルス~。もう出してくれ~。」
マーズが泣いて懇願する。
「んなわけないだろ。えーとまだ…、0.1%しかたってないぞ。」
絶望の色が広がる。
「う、噓だろ…。」
「ほんとだぞ。俺もアテネとヘレネを鍛えるから頑張れ。」
~1週間後~
「おおー。太刀筋がよくなってきたぞ。」」
流石に1週間休まず剣を振っていたら太刀筋はよくなるわな。ちなみに、この1週間でヘレネは10000回ほど生き返っている。
俺が褒めてもだれも反応しなくなった。無心で剣をふるっている。これじゃあ練習にならないな。この空間に常時精神力回復効果を付けとくか。
~1ヶ月後~
ようやく、剣術に関しては許容できる範囲にまでに成長した。今度は魔法の方を鍛えるか。
「集まれ~。」
皆生き生きとして集まってくる。特訓が終わることを期待してるのかもしれないが、まだ終わらせるつもりはない。
「今度は魔法を鍛えるぞ。魔力がなくなっても自動回復されるから、だいたい2ヶ月ぐらい魔法を打ちまくる。これが今回の特訓だ。では始め。」
「「えっ?」」
皆、ポカンとして、一瞬止まってしまった。その瞬間、天井から雷が落ちる。これがさぼった者への罰だ。何度受けても受けたくないほどの強さに設定してある。頑張ってくれ。
~1年後~
「集合~。」
もうみんな期待してくれていないようだ。
「さて、この空間での特訓は終わりだ。」
この言葉を聞いて歓喜の輪が広がる。泣いている者もいるようだ。だが…。
「まだ特訓は終わらない。お前たちの今のレベルはちょっと強い冒険者レベルだ。俺はお前らを人間のギリギリまで強くする。というわけでこれからお前らを魔の森に放り込む。死なないようにするから魔物をできるだけ多く狩れ。これを3週間続ける。そうすれば学生なんかに負けることはないだろう。では行こうか。」
クラス全員を魔の森に転移させる。1年分の特訓をしたんだ。魔物なんかに後れを取ることはないだろう。
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ついに武闘祭の日がやってきた。
「ついにですね。セルスさん。どうですか、調子は?」
担任が問う。
「負ける気はしません。天地がひっくり返っても全勝するでしょう。」
「そうですか。セルスさんが言うなら間違いないですね。」
俺たちの成果を発揮するときが来たようだ。ちなみに、出場するのは初等部から進学してきた奴らだ。高等部から入ってきた生徒との差はやはり大きかった。仕方ないことだ。初等部のやつらはすでにそれなりに鍛えていたからな。
「…それでは、リベタス連合国立各学院対抗武闘祭の開催を宣言する。」
連合王国の首長が開催を宣言し、武闘祭が始まった。
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