アテネとのデート ② +告白
波乱の昼食が終わり、俺たちはデートの続きをすることにした。
「行きたいところがあるんだけど…。」
「セルスの生きたいところならどこでもいいよ。」
「じゃあ、城壁の展望台に行こうか。この街でも生粋のデートスポットなんだって。」
ヴァシル叔母さんに教えてもらった。昨日、アテネとのデートスポットについて教えてもらったのだ。せっかくアテネとデートするなら楽しんでほしい。男として当然の行為だろう。叔母さんにそう言ったら
「本当に、貴方は女たらしよね。アテネちゃんとヘレネちゃんは幸せね。」
と言われてしまった。なぜだろう?
「デ、デートスポットか~。どんな場所なんだろう。」
「楽しみだね。」
本当は夕焼けが有名な場所だそうだが、夜はアテネと家でイチャイチャしたい。なので昼のうちに行くことにした。昼でも景色がいいらしいし大丈夫だろ。それと、俺は亜の場所でしなければならないことがある。
そう、
『告白』
である。
なぜ、突然アテネに告白することになったのか。それは、1週間ほど前にマーズに言われた言葉がきっかけだ。俺とアテネが一緒にいるところを見て、こう言ってきた。
「お前らって、付き合ってんの?」
それを聞いて、俺は気が付いてしまった。俺とアテネは婚約者であり、恋人関係ではないのだ。ということは、まだアテネにプロポーズできる可能師が残っていることだ。小さい男だと思われるかもしれないが、4年前、アテネと婚約することになったときは、アテネから婚約しようと言い出した。
それをいまだに気にしているのだ。もし次、チャンスがあるのなら俺から気持ちを伝えたい。そうでないとなぜか、負けたような気がするのだ。さらに言えば、男としてのプライドが許せない。こんな絶好の機会があるのなら使わないわけにはいかない、というわけだ。
さらに言えば、アテネと恋人になった暁には、いままで自重していたことを好きにできるようになる。例えば、キスとか?というわけで、俺はこれでも大分緊張している。昨夜、緊張のあまり寝られなかったので、叔母さんに精神安定系のスキルを教えてもらった。そのスキルのおかげで何とか平静を保てている。
「尾上にある建物が展望台みたいだな。」
「おおー。高いね。景色もよさそう。」
俺たちは展望台まで上る。
「セルス!きれいだね!」
アテネが笑いかけてくる。
「ああ。本当にきれいだ。」
「セルス?街はあっちだよ?」
つい、アテネの方を見てしまった。
「ごめん。アテネに見惚れちゃった。」
「もう。セルスったら。お世辞でもうれしいよ。」
お世辞なんかじゃないのにな。アテネよりも綺麗な人っていないんじゃないか?ヘレネはアテネと同じぐらい綺麗だが。
「ふぅ。」
俺は呼吸を整える。スキルを使ったとしても緊張のあまり、心臓が止まりそうだ。
「セルス?どうしたの?」
アテネが心配してくれる。不安そうな顔も可愛いな…。俺もそろそろ覚悟を決めなきゃな。あんまり待たせるわけにはいかない。
「ふぅ。」
俺はもう一度、心を落ち着かせ、こう切り出す。
「アテネ。伝えたいことがあるんだ。」
「う、うん。」
「初めて会った、あの時から俺は惚れてた。いわゆる一目惚れってやつだな。その後、一緒に暮らし絵ってもっとアテネのことが好きになった。努力家で天才肌なんだけど、たまに抜けてる、そんな天然なところも好きだ。いつもはビビりなくせに魔物と戦うってなると、嬉々として飛び込んでいく。そんなところも俺は好きだ。その可愛らしい性格も、この上ない綺麗な容姿も全部好きだ。だから…。」
「だから、アテネ!俺と付き合ってください!」
俺はそういい、アテネに頭を下げる。ふと頭を上げると、
アテネは泣いていた。
「ア、アテネ?大丈夫か?いやだったか?ごめん。」
「ちがうの。ちがうのセルス。嬉しかったんだ。あの時、ヘレネと会った時私、セルスに何も言わずあんなこと言っちゃったから、ずっと不安だったんだ。」
アテネは笑顔で語りだす。
「セルスは私に遠慮して付き合ってくれてるのか、不安だったの。いつも、綺麗だなんて言ってくれるけど、私に気を使って言ってくれてるのかもしれない。本当は私なんかと結婚したくないんじゃないのかってね。」
「そんなことないに決まってるだろ。」
「だから嬉しいんだ。セルスも同じ気持ちなんだって。だから返事はこうだよ。」
するとアテネは、顔を近づけてきた。
(ち、近い)
アテネはそのまま顔を近づけ、目をつぶった。その瞬間、俺の唇に何かが触れた感触がした。そして俺は気が付く。
(俺、アテネにキスされた!?)
アテネの方を見ると、顔を真っ赤にして照れながらも、ニコッと笑いかける。
「い、今のって…。」
「これが私の返事。これからもよろしくね!セルス!」
アテネはそういい、とびっきりの笑顔を俺に見せてくれた。
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