アテネとのデート ①
ラブコメ回です。
今日は待ちに待ったアテネとのデートの日だ。アテネが何でも言うことを聞いてくれるとか、夢のようだ。俺は待ち合わせ場所である、学院の正門へ急ぐ。急ぐとはいっても、約束の時間まであと30分ほどもある。どうせならラブコメのテンプレみたいなことをしたいんだ。
俺は待ち合わせの場所でアテネのことを待つ。20分ほどすると、アテネはやってきた。
「待った?」
「いや。今来たところ。」
「それって…。それがしたくて早く来てたんだね。いつものセルスならもっとぎりぎりに来るはずだもんね。」
アテネにはすぐにばれてしまった。微妙に恥ずかしいな。
「ねえねえセルス。おしゃれしてみたんだけど、どうかな?」
「えっ…?」
アテネの格好をよく見ると、白いワンピースを着ていて、綺麗な銀髪はポニーテールにしている。いつもの清楚な雰囲気とはまた違い、活発でかわいらしい雰囲気をまとっている。不覚にも見とれてしまった。
「似合ってないかな?」
アテネが不安そうな顔をこちらに向けて来る。…その顔も心に悪い。心臓が過労死しそうだ。
「めっちゃ似合ってるよ!いつもの清楚な雰囲気とのギャップもいい!本当に可愛いよ!」
俺がそう褒めちぎると、アテネは分かりやすく照れる。アテネはどんな表情でも様になるよな。
「じゃあ行こうか。今日は俺がエスコートするよ。」
「うん。どこ行こっか?」
「そうだな。まで少し早いけど、もう昼ご飯食べよっか。」
俺たちは大通りに面した、街でも有名なレストランに行くことにした。
「いらっしゃいませ。」
店員が営業スマイルで出迎えてくれる、と思ったら驚いたような顔をして
「もしかして連合学院のセルス様とアテネ様でいらっしゃいますか?私、ファンなんです。握手してもらえませんか?」
と言ってきた。俺達ってそんなに有名なのか?ただの学生だと思うんだけど…。握手ぐらいならと、握手をすると感激のあまり泣いてしまった。
「あのー。席の方は?」
「すいません!今すぐご案内しますね。」
俺たちは窓際の個室に案内された。ここってVIP席じゃなかったか?一度だけ、学院長と密会するときにここに案内されたような…。俺が困惑していると、店員さんはどこかへ行ってしまった。この席を使うしかないようだ。
「アテネ、ここの席にしよう。」
「そうだね…。」
「と、とりあえず、頼もうか。」
「うーん。私はこのかっこよさそうな名前のスパゲッティにするね。」
「俺はこの『明太子スパゲッティ』で。」
この世界にも明太子ってあるんだ。いままで地球のものって何一つなかったから、つい気になってしまった。なぜか嫌な予感がするが。
俺は店員を呼び、注文を済ませる。俺が明太子スパゲッティを注文すると、店員は明らかに可哀想なものを見る目でこちらを見てきた。なんだろう。怖いな。
「お待たせしました。真夜中のスパゲッティでお待ちのお客様~。」
「それと、明太子スパゲッティです。」
アテネが頼んだスパゲッティは、真っ赤なスープに入ったスパゲッティだった。美味しそうだ。それに比べて、俺の明太子スパゲッティは、見た目は確かに明太子にそっくりだが、匂いがまるでドリアンのような強烈なにおいだ。味も…。大丈夫だ!きっと…。…だめそう。
「「いただきます。」」
俺はあきらめてスパゲッティを口に運ぶ。果たしてその味は…。匂いに反してうまい!、はずがなく、生の小松菜を食べているようなえぐみがある。なぜこんなものをこの店は出しているんだ。
「セルス?大丈夫?」
悶絶している俺を見て、アテネが心配してくれる。
「やっぱり、アテネは天使のようだな…。」
「セッ、セルス!?いきなりどうしたの?そのパスタのせいでおかしくなっちゃった?」
「やべ、口に出てたか。アテネが天使なのは元から事実だから俺の頭がおかしいわけではないよ。」
「えっ!今日のセルス、やっぱりおかしいよ?」
「えっ?思ってることが全部口に…。」
俺は急いでメニューを確認すると、隅に『このスパゲッティを召し上がられると、1時間、隠し事ができなくなります。ご注意ください。』と書いてあった。
「えっ?1時間も俺の思ったことが全部心に出ちゃうってこと?それってヤバくないか…。」
俺が困惑していると、アテネが何か面白いことを思いついたのか、笑みを浮かべて、
「ならそれ、私も食べよっか。そっちの方がお互いの本音が聞けて面白そうだし。」
といい、アテネは俺が止める前に、明太子スパゲッティを口に入れてしまった。
「これで私も隠し事ができなくなったよ。どんどん本音を言っていこう!」
「なんだこの罰ゲームは。どうして好きなこの前で本音しか言えないんだよ。これじゃ、かっこつけられないじゃないか。」
そこまで言って、俺は気が付く。
「あっ。今のも口に出しちゃったのか。恥ずかしい…。」
アテネも顔を真っ赤にしている。すると、
「私もセルスのこと、大好きだもん。誰よりも愛してるもん。」
「可愛い…。なんだこの可愛い生物は。抱きしめたいな。あっ…。」
「セルス?抱きしめてほしいの?」
「えっ?その…。抱きしめてほしいに決まってるだろ!あっ。まただ。」
「ふーん。そうなんだ。」
アテネはそういって俺の隣にきて、抱き着いてきた。
「かわいい。っていうか背中に柔らかい感触が…。俺の理性がもう…。」
「う~。」
アテネはプルプルと震えている。流石に恥ずかしかったようだ。すると、アテネは
「頭、なでてほしいな…。あっ。」
つい本音が出てしまったようだ。
「可愛い…。なでてほしいなら遠慮せず…。」
アテネの頭をなでる。
「可愛い。いいな、頭をなでるのも。デレデレのアテネもまた、違う良さがあるな。」
俺はあきらめて、本音を隠さずに言うことにした。
「このなんちゃって『明太子スパゲッティ』には感謝しないとな。こんな体験をさせてもらえるなんて。」
「ほんとにそうだよね…。ねえねえ。これからも頭、なでて?」
「もちろんだ。そのかわり、たまにハグもしような。」
「私からもそれはお願い!あっ、でもヘレネが病んじゃうか。しかたない。ヘレネにも許可、出しといてあげるか…。本当は独り占めしたいけど…。」
「なんか闇が見えた気がするが…。」
「なんか言った?」
「い、いえ。そうだな。ヘレネもか…。…アレはヤバそうだな。いろいろと。」
あれが抱き着いてくるのか…。理性が持つ気がしない。
「私のじゃ足りないかな?」
アテネが自分の胸を押さえて、そう聞いてくる。
「アテネも標準より大きいと思うんだけどな…。ヘレネは以上だからな。どこまで大きくなるのやら…。」
少しの間、無言になる。俺は何かないかと話題を探そうとする。すると突然、アテネがこう聞いてきた。
「セルスってさ、大きいのと小さいの、どっちの方が好き?」
うっ。その質問は…。どっちと答えても…。俺は正直に話す。
「俺も思春期の人間です。もちろん、大きい方が好きです。」
アテネはその答えを聞いて、何かを決心したように、
「そっか。ありがとう。ヘレネよりも大きくなるんだ!お母さまにどうすればいいか聞こう!」
お母さまって…。もしかして…。
「その『お母さま』っていうのはレア様のことで?」
「そうだよ。お母さまのおっぱい、大きいんだ。確か、HとかIとかあったって言ってたような?」
「ブフッ。」
俺はつい、口に含んだ水を吹き出してしまった。あの神、娘に何てこと教えてんだ。
「見てて。いずれ、ヘレネよりも大きくするんだから。」
アテネが謎の宣言をして、ようやく昼食が終わった。胸の大きいアテネ。いったいどうなってしまうのやら。俺の将来の貞操が心配になってきたな…。
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