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アテネと勝負


「ほんとにいいんですか?」


俺は担任にもう一度確認する。


「そうでもないと、馬鹿っていうのは変わらないから。」


そうだが。そのとおりだが。ほかに言い方っていうものがあるだろう。


「でも先生。どこでやるんです?こんなところでやったら、この街は壊滅しますよ。」


マーズが担任に尋ねる。俺も気になっていたところだ。俺とアテネが真剣勝負できる場所なんて、なかなかないぞ。


「大丈夫だ。そこら辺のことも考えてあるよ。なんと、昔セルスさんが開発した転移魔法を、私もマスターしたのです!すごいでしょ。ね?ね?」


担任のほめてほめてアピールが…。いい年齢した男なのに。でもすごいな。俺の転移魔法を理解できたのは、アテネとヘレネだけだったからな。相当努力したんだろうな。よーく見れば、目の下にクマがあるようだし。


「では、早速転移しましょうか。皆さん集まってください。」


皆が集まってくる。俺なら闘技場が満員でも全員転移させることもできるけど、担任ぐらいの魔力量だったら、10人で、しかも密集している状態が限界か。じゃあ、もっと魔力消費が少ない転移魔法を作って、教えてあげるか。


「皆さん集まりましたね。「転移」」


担任が魔法を発動すると、俺たちはだだっ広い荒野に転移した。ここなら、俺とアテネが全力で戦っても大丈夫そうだ。


「早速、始めましょうかね。私たちは遠くの方で見ているので、気にしないで始めちゃってください。」


担任とクラスメートはそういうと、どこかに転移していった。


「セルス。いい試合にしよ。」


「まあそうだな。ぶっちゃけ、アテネとはやりたくないけどね。」


だって、めっちゃ疲れるんだよね。アテネと戦うと。翌日の疲労感が半端ない。学校がなければ1日寝てられるよ。


「ええ~。せっかくやるなら全力でやろうよ。あっ!そうだ。勝った方にご褒美、あげない?」


「ご褒美か。いいな。どんなご褒美にするか?」


「うーん。じゃあ、負けた方は明後日、勝った方の言うことを1日中聞く。これでいいんじゃない?」


おお。これならやる気が出てきたぞ。アテネにどんな要求をしよっかな。


「それがいいね。じゃあ始めよっか。」


俺たちは向かい合うと、相手に仕掛けに行った。


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「う~。負けた~。セルス、容赦ないよ。」


勝負の結果はもちろん、俺の勝ちだ。とはいってもギリギリの争いだったけどね。俺も最近、強くなったと思っていたが、そんなことはなかったようだ。おごりはよくないな。何事も謙虚に。それを大事にしよう。


「アテネもだいぶ強くなったじゃないか。何度死を覚悟したことか。」


「そうかな?でも強くなったんだったらよかった。最近、私も特訓してるんだよ。魔の森によさそうなダンジョンを発見したんだ。レベルもどんどん上がって、セルスと同じぐらいまでは上がったんじゃないかな?」


アテネに言われて、鑑定してみる。


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ステータス

アテネ=アングルス 半神半人 12歳 Lv81

称号:創造神レアの娘

HP:?/?

MP:?/?

筋力:?

俊敏:?

防御:?

器用:?

運 :?

固有スキル:創造神の加護 創造神の寵愛

通常スキル:すべて

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ちなみに、俺のステータスはこんな感じだ。


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ステータス

セルス=アングルス 人族? 12歳 Lv92

称号:神の使い

HP:2406/12452

MP:12728/74201

筋力:2535

俊敏:2004

防御:2341

器用:2189

運 :450

固有スキル:神眼Lv4 神聴Lv5 神の奇跡

通常スキル:すべて


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ついこの間まで、俺とアテネの間には30ぐらいのレベル差があった。それが2か月ほどで11にまで詰められてしまった。アテネの成長には目を見張るものがあるな。あっという間に追いつかれてしまいそうだ。今度、そのダンジョンに連れて行ってもらおうかな。


アテネと試合について討論してると、担任達が帰ってきた。


「やはり異次元ですね。同じ人間だとは到底思えませんが。」


「ギクッ」


アテネはもともと人じゃないし俺も最近人なのか怪しくなってきている。ステータスにも?を付けられているし。


ふと、俺はガイアの方を見る。すると、彼は顔を真っ青にしてガクガクと体を震わせていた。俺とアテネの戦いを見て、自信がポッキリと折れてしまったのだろうか?マーズやラクスも初めて俺とアテネの試合を見た時はあんな風に恐怖に震えていたけど、今じゃいい友達だしな。時間が何とかしていくれることだろう。


「では、学院に戻って彼らの戦いについて考察していきましょうか。セルスさんとアテネさんはもはや限界のようですしね。」


そう、アテネとの戦いの疲労によって今にも寝てしまいそうだ。気を抜いたらこのまま立ち寝してしまう。アテネの方を見ると、彼女はすでにスヤスヤと寝てしまっていた。


「転移」


担任が転移魔法を発動し、学院に戻る。俺は残りの授業を爆睡した。そのまま翌日の午後まで教室で寝てしまった。今回は過去一の疲労だったみたいだ。30時間ほど連続で寝てしまった。もう疲労感はなくなっている。明日はアテネとのデートの約束をしてある。勝者の権利を使って、アテネと恋人らしいことをしまくるという夢のような日が待っているのだ。今から楽しみで眠れない。もう30時間も寝てしまったが…。

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