パーティー
「すごい人だな。学院長が来てるからか?」
俺はもっと個人的なパーティーをするのだと思っていたが、国主催のパーティーと大差ないほどの規模のパーティーになっている。もちろん、大勢の人が参加しているので、会場も学院の講堂になった。
「それもあると思うけど、このパーティーは高等部に入る生徒、全員をお祝いするんだって。だから大規模になっちゃった。ホントはこっそり開催するはずだったんだけどね。ラノスさんがついでにって。」
ラノス叔母さんのせいか。あの人、何でもかんでも効率重視だからな。『複数回パーティーするならまとめちゃえ』って感じか。
「お~。セルスじゃないか。1ヶ月ぶりか?更に男前になったじゃないか。」
背の低いイケメンがダルがらみしてくる。
「そうか?お前は全然変わってないな。」
「どこ見てんだよっ。」
「胸おさえてんじゃねえよ。背だよバカ。」
こいつは初等部の頃からの親友のマーズだ。なぜだかわからないがいつの間にか仲良くなっていた。それからというもの、親友となった。この世界初めての親友である。相手が誇れる奴ならよかったのだが。こいつはあほだ。俺が付きっ切りで勉強を教えたおかげでなんとか高等部に入れたらしい。アテネやヘレネには良いコンビと言われる。不本意だ。俺も同類だと思われるだろ。
すると、本物のイケメンが近づいてきた。
「君たちは相変わらず仲がいいな。」
「ラクス。決して仲がいいわけじゃないぞ。俺がかまってやってるだけだ。」
「君も素直じゃないな。」
「??」
彼はこの連合国の中心国家、オイカリア公国の第一王子ラクス=オイカリアだ。彼は先程の顔だけのイケメンとは違い、顔から体型、性格や勉学、剣術まで、すべてにおいてトップクラスだ。彼とは初等部時代もいいライバルだった。顔や体型ではラクスに1位の座を譲ったが、勉学と剣術では俺が4年間ずっとトップだった。そんな彼だが、たまにおかしなことを言うことがある。そこだけが欠点だ。
「アテネちゃ~ん。ヘレネちゃ~ん。会いたかったよ~。」
「ルミス。近いわよ。離れなさい。」
今アテネに飛びついた、猫耳の可愛らしい少女がルミスだ。彼女はアテネやヘレネにべたべたくっついている。なんかイラっとする。
「離れろ。アテネが困ってるだろ。」
俺はルミスの首根っこを掴み、アテネから離す。
「ケチだな~。少しぐらいいいじゃん。」
こんな奴だが、なかなか仕事にできるやつだ。初等部の生徒会での活躍は伝説級だ。学院の収支を大幅に改善させ、様々な施設を改装し、挙句の果てには学院の入試まで担当してしまった。彼女のおかげか、今年の初等部の倍率は過去最高の50倍を記録したそうだ。仕事はできるのにな。せめてほかの男子にスキンシップはやれよと思う。
「あなたたち、静かに楽しむことはできないの?これだから精神年齢3歳児の集まりは。少しは私を見習ってほしいわ。」
この毒舌キャラなのはルーシャだ。彼女は2年前にエルフの国から亡命してきたらしい。それでこの学院に通っているそうだ。俺らと同じだな。彼女は毒舌でひねくれているが実はツンデレなのだ。本人は認めようとしないが。
彼らに俺とアテネとヘレネを加えた、計7人が俺が初等部でいつも一緒にいた奴らだ。みんな高等部に進学するのでまた会うことになるのだが。
「まあ、パーティーを楽しもうじゃないか。」
「そうだな。」
「セルス、今いい?」
2時間ほどたった後、俺はバルコニーで涼んでいた。すると、アテネが近づいてきた。
「いいよ。何か話でも?」
「う~ん。大事な話じゃないんだけどさ、もう4年もたったんだね。」
「そうだな。あっという間だったな。」
「お母さんや国王陛下も無事らしいけど心配だよね。」
ここ4年間で王国の情報はあまり入ってきていない。しかし、誰かが処刑されたという話は入ってきていない。今のところ無事らしい。だが、もたもたしてられない。一刻も早く強くならないと。4年前からすることは変わっていない。
「気にしてたら仕方ないよ。俺らだけで王国軍を壊滅させるほど強くなる。昔からすることは変わらないだろ。」
「そうだね。」
アテネがほほ笑む。やっぱりアテネは笑ってる方が可愛いな。悩んでるアテネはなんか違う。
「アテネは笑ってる方が可愛いよ。そんな思い詰めないで気楽にいこうよ。」
「も、もう。セルスったら。」
アテネが顔を真っ赤にして照れてる。ああ。やっぱり可愛い。俺、幸せすぎないか?
この日は何も気にせずはっちゃけることができた。ついに明日からっまた学院が始まる。のんびり強くなりたいな。事件でも起きなければいいけど。
~翌日~
「…と、いうわけでよろしく頼むね。」
「えっ?えぇぇぇぇ~!」
しっかり翌日から事件は起きました。
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