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4年後

第2章に入ります

 学院に入って4年が経過し、俺たちは12歳になっていた。俺たちは学院の初等部を卒業して、高等部に入ることになった。あれから王国はクーデターにより俺の元父さんが国王の座についた。お義母さんや国王陛下は無事らしい。だが俺たちは指名手配されることになり、国には帰れていない。もう一度クーデターを起こし返せるほどに強くならないと帰れなさそうだ。


「セルス。やっと卒業だね。」


 アテネは8歳の時でも大分美人だったが、12歳になりもっと美人になった。大人びてきたが、まだあどけなさが残っている。さらに思春期に突入し、女性らしさが出てきた。胸は平均ぐらいの大きさだが。特に笑顔の破壊力が災害級だ。アテネの笑顔のせいで別れるカップルが増えたとかなんとか。毎日が理性との戦いだ。

 だが一人だけならまだしも、俺にはもう1人いるのだ。そう、ヘレネの方が成長している。もうすっかり『巨』の域に突入していて俺の理性はどんどん削られていく。ヘレネは胸以外はクールな感じに成長した。そのためギャップが大きくさらに魅力を増している。俺も思春期に入ったため、昔よりそういうことに興味が出てきてしまったのだ。もういつ手が出てもおかしくはない。まあ、2人に嫌われることはしないけども。


「セルス。久しぶりに教会に行くね。私も6歳の時以来だよ。」


そう、今日はこの国特有のお祝いの日だ。昼に教会に行って12年間見守ってもらったことに感謝し、夜はお世話になった人を呼んでパーティーを開く。それがこの国の伝統だ。


「そうだね。懐かしいな。あの時に勘当されたからこそ今があるんだもんな。」

「そうだね。」


俺たちはしみじみと王国のことを思い出す。はあ。早くお義母さんたちに会いたいな。

教会に向かうと、大行列ができていた。


「だいたい1時間待ちか。大変だな。」


俺たちは、列に並ぼうとする。すると、教会のシスターさんが声をかけてきた。


「あなた方がセルスさん御一行ですね。どうぞこちらからお入りください。」

「いえ。俺たちは大丈夫ですよ。」

「駄目です。あなた方はこちらに通すようにとヴァシル様から仰せつかっております。」

「はあ。」


俺たちは仕方なく裏口から入る。中に入るとそこはちょっとした広間になっていて、祈りをささげられるようになっている。


「こちらは神官が祈りをささげる場となっております。ぜひこちらでお祈りください。」


言われるがまま、俺たちは祈りをささげる。するとすぐに、懐かしい空間が広がった。


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「久しぶりだねセルスくん。元気にしてたかな?」


そこには6年前に話したテール様がいた。


「お久しぶりです。それでご用件は何でしょう。」

「いや、特にはないね。ただこれでいつでも君と会話できるようになった。まあ私は予知とか戦いとかに向いた神じゃ無いからあまり役に立たないと思うけどね。」


なんと。女神様直々に声をかけてもらうなんて。確かにスキルの説明のところに書いてあったけど。頼もしいものだ。


「ありがとうございます。」

「まさかこちら側が君を探さないといけないとはね。想定外に面倒くさいスキルだったよ。流石に何十億もの生命から君を探し出すことはできなかったよ。」

「面倒くさいですか…。確かにそうですね。なんかすいません。」


俺のスキルってそんなに扱いずらいもんなのかな。チートではあるが。


「そう。レアが君のことをほめてたよ。順調にいけば婚約を認めてもらうんじゃないかな。」

「本当ですか!」

「君がヘタレだったおかげだね。」


ヘタレ言うな。俺は誠実なだけだぞ。


「それをヘタレっていうんだけど…。それじゃあね。」

「ありがとうございます。」


あの創造神様が俺たちのことを認めてくれる日が来るのか?いささか想像できないが。

だんだんと視界がぼやけてきた。目覚める合図だ。

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「セルス。そろそろ行こ!」


目が覚めると、アテネとヘレネに催促されていた。そんなに長い間話し込んでいたか?数分ぐらいだったような気がするが。


「ごめんごめん。行こうか。」


後でアテネにも創造神様と会ったか聞いとくか。

この日は国中がお祝いムードとなっている。なのでお店でもセールが行われている。どこも主婦の皆さんが戦争をしているようだ。


「セルス君。ちょっと行きたいところがあるんだけど…。付き合ってもらってもかな?」

「全然いいよ。」


俺もデートとかなら喜んでいかせてもらう。彼女らの笑顔を見るのが俺の生きがいだからな。…俺っておっさん臭くなってる?確かに、前世と合わせたら30年ぐらいは生きてるけどさ。


「アテネもいいかな?」

「仕方ないね。今日だけだよ。絶対に抜け駆けはしないこと。それだけは守ってね。」

「わかってるって。」


抜け駆けって。ヘレネに誘惑されたら耐えきれる自信がないから、絶対にそういうことはしないでほしい。俺の精神はそこまで丈夫じゃないぞ。


「アテネは寮に戻ってパーティーの準備をしといて。」

「うん!とっておきのご馳走を作って待ってるね。」


この4年間にアテネの家事スキルが大幅にアップした。毎日のようにラノス叔母さんに教わっていたそうだ。そのためアテネが作る料理はおそらく世界一だろう。食べたものは確実に胃袋を掴まれる。そんな旨さだ。楽しみだな。


「セルス君。ダンジョンに行かない?」

「えっ?ダンジョン?ショッピングとかじゃなくて?」

「うん。ダンジョン。」


ヘレネが何やら悲痛な表情を浮かべている。ダンジョンに何かあるのだろうか。ともかく、俺らはダンジョンに行くことにした。

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