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学院へ


「さて、ようやくミズガルズに到着したわけだが、1つ問題がある。」

「どうやって入国するか、だよね。」


そう、俺たちは手ぶらで襲撃から脱出したのだ。身分を証明するものは何も持っていない。


「うーん。夜中に侵入するっていうのは?」

「いいわけないだろ。まあ、お義母さんからもらった腕輪があればなんとかなるとは思うけど。一回試してみるか。」


俺たちはミズガルズに入るため、検問の列に並んだ。


「はい、次。身分証だして~。」

「あいにく、盗賊に盗まれてしまいまして。」


俺は前々から考えてあった言い訳をいう。


「そうかそうか。それは災難だったな。どっかのギルドで再発行してもらえ~。」

「えっ。は、はい。」


なぜだかわからないがあっという間に入ることができた。この年の検問雑すぎやしないか。もはや検問の意味、ないじゃないか。入れたからいいけどさ。


「セルス。あっという間に入れたけど、これからどうしよっか?」

「そうだな。まず宿を取ろうか。野宿にはなりたくないからな。それと、冒険者ギルドに行って身分証を作ってもらわないと。」

「そうだね。じゃあ、冒険者ギルドに行こっか。」


というわけで俺たちはまず、冒険者ギルドに行ってこの国でも冒険者登録をすることにした。


「ここが冒険者ギルドか。」


この国の冒険者ギルドは石造りの立派な建物だった。これならあるあるは起きないかな。


「すいませーん。冒険者の登録をしに来たのですが。」

「はい。えーと…。3名様でよろしいですか?」


受付嬢がこいつら、本当に戦えるのか?っていう顔をしている。俺もまだ8歳だし、アテネもヘレネも可愛いから戦えるようには見えないか。


「ええ。身分証のために持って置きたくて。いくらですか?」

「ああ。そういうことですか。料金のほうは無料となっております。ですが、この登録証は未成年のかた…えーとあなたたちぐらいだと来年に更新…もう一回来てください。」


受付嬢は俺たちの年齢が8歳だと知って、突然子供に分かるように簡単に説明しだした。俺たちって8歳には見えないのか。確かに8歳にしては身長は高い。10~12歳ぐらいには見えるか。話口調とかも8歳のそれではないか。


「ありがとう。」


俺たちは冒険者ギルドを後にする。


「今日はもう宿に行って休むか。明日はリベタス連合学院に行くぞ。」

「うん。」

「わかったよ。」




翌日、俺たちはリベタス連合学院へ向かった。俺は門にいる、警備兵に声をかける。


「すいません。ここの学院の学院長に取り次いでもらえますか?」

「うん?お前、何者だ?」

「ここの学院長がお義母さんの知り合いと聞いて。会わせていただけませんか?」

「ちょっと待っていてくれ。おまえの母親の名前は何という?」

「ラノス=アングルスです。」

「そうか。」


警備兵はおそらく学院長に聞きに行ったのだろう。お義母さんの知り合いなら嫌な人ではないだろう。

警備兵が走ってきた。


「面会の許可が下りました。しかしヴァシル様もお忙しい。なので手短にお願いできますか?」


面会ができるとなって警備兵の態度がもう、まったくの正反対の変わった。俺はいやだとは思わないしそちらの方が好感を持てる。

俺たちが学院長室と書かれた部屋に入ると、お義母さんによく似た銀髪蒼顔の美女がいた。


「失礼します。」

「あなたたちがラノスの子供なのね。うーん。そこのお嬢ちゃん以外は全く似てないわね。まあいいわ。とりあえず座りなさい。話は聞くわ。そこに座りなさい。」


良い人そうで何よりだ。俺は指示されたソファーに座った。なにこれ?めっちゃフカフカ。家に欲しい。家、ないけど。俺はまず、一番気になっていたことを質問する。


「まずお伺いしたいのですが、貴方とお義母さんはどのようなご関係なのですか?」

「そうね。私とラノスは双子なの。私が妹、ラノスが姉ね。」


突然のカミングアウト。そうだったのか。道理で似ているわけだ。一瞬お義母さんと見間違えた。


「じゃあ、こちらから質問するけど、そこの銀髪ちゃんはラノスの子供でいいわよね。残りの二人はどういう関係なのかしら?」


俺が代表して答える。


「そうですね。まず私、セルスというのですが実家に勘当されたところをお義母さん、ラノスさんに拾っていただき、養子になったという形です。ヘレネとアテネ…えーと金髪のほうがヘレネで銀髪のほうがアテネというのですが、二人は私の婚約者となっています。」

「そうなのね。良かったじゃない。こんな美少女2人を婚約者にできて。」


お義母さんの妹さん、要するに叔母さんがからかってくる。


「そうだよ~。もっと感謝しないとだよ。」


ヘレネも乗ってくる。くっ。やられっぱなしになるわけにはいかない。軽く仕返ししとくか。


「2人とも可愛すぎるので俺には持ったいないですよ。将来、もっと綺麗になられたら見捨てられないか不安です。」


最近分かってきたのだ。アテネもヘレネも綺麗と可愛いとか言われるとすぐに恥ずかしがる。俺としてはなぜそんなに恥ずかしがるのかは分からない。2人ともそういうことは言われなれているはずなのに。と、叔母さんはあきれた目をしている。


「分かってないわね。あなた、褒めているときの顔がそう、致命的なのよ。」

「えっ…。」


致命的って。そんなにひどいのか?俺が打ちひしがれていると、叔母さんがあきれたように言う。


「違うわよ。あなたの顔はどんな女性でも惚れさせられるぐらいかっこいいってっこと。少しは気をつけなさいね。」


そうなのか?


「っと。大分それましたね。本題に入りますが、保護してもらえませんか?王国には帰れない状況になっておりまして。」

「いいわよ。」

「えっ?いいんですか?」

「いいわよ。ラノスの子供っていうことは甥と姪にあたるわけでしょう。喜んで保護するわ。」


あれー?断られると思ってたんだけどな。まあ、良いなら良いか。喜んでお世話になるとしよう。


「ありがとうございます。」

「じゃあ。明日からここの寮に住んでもらって、ここの学院に通ってもらうわ。」

「いいんですか?大変ありがたいです。」

「じゃあまた明日~。」

「お願いします。」

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