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王都②

数日空いてしましました。すいません。


「あの城壁の中が王都ですね。」

「さっきの街より大きいな。」


近づいて見るととても高い。この高さがあれば魔物の集団発生、いわゆるスタンピードが起きても安心そうだな。俺の家の領地にも造りたいな。


「そこの馬車、止まりなさい。」


城門をくぐろうとすると、門番に呼び止められた。


「我々はアングルス家の者です。国王陛下に招かれてやってまいりました。」

「失礼いたしました。ここ最近物騒な事件が多発しておりまして。」

「そうなのですか。我々も気をつけねばなりませんね。」

「お気を付けて。いってらっしゃいませ。」


城門をくぐると、整然と並んだ街並みがあった。これぞ異世界だな。あんまり物騒な感じはしないけどね。


「おおっ!」


ついに王城が見えてきた。やっぱり大きいな。さすが王国のシンボルだ。


「私達、アングルス家のものです。」


王城の警備をしている騎士にアングルス家の紋章とともにそういうと、騎士たちは青ざめた顔をして


「あなたがヘレネ王女様とご婚約をされたという…。」


と言ってきた。俺のことってそんなに話題になっているのか?そんなに目立ちたくないから困るんだけど。


「ええ。まあ。俺がヘレネと婚約したセルスというものですが。」

「あなた様が上級魔人を倒し、岩竜を倒し、竜人族までも救われたお方でしたか。大変失礼いたしました。我ら王家直属近衛騎士の憧れであります。もしよろしければサイン、いただけませんか。」


この世界にサインっていう文化、あったんだ。俺、そんなにすごいことしたっけ。騎士達の憧れのアイドルを見るような目が痛い。断れない雰囲気、か…。サイン、したことないけどするしかないか。


「サイン、したことないですが…。」

「なんと!これが初めてですと!私もこれでかわいい子にお近づきに…。」


俺、神聴のスキルのおかげ丸聞こえなんだけどな。まあ、俺のサインでかわいい子が寄ってくるとは思えないけどね。


「あちらからお入りください。」


俺たちは謁見用の通路を案内された。


「セルス=アングルス様御一行が到着されました。


謁見用の部屋に入る。


「そなたらがヘレネを救ってくれたものどもか。わしの娘を救ってくれたこと、まず礼を言わせてもらう。ありがとう。」


すると、国王が俺に対し礼を言ってくる。おこがましいな。今の国王って低姿勢なかんじで国民に寄り添っている。これまで町で出会った人も国王のことを否定的にいう人はあまりいなかった。俺もこういう貴族になりたい。


「いえいえ。困っている方がいれば助けるのが道理ですよ。困ったときはお互い様ってやつですね。」

「困ったときはお互い様、か。なかなか良い表現ではないか。わしの心情に加えとくかの。それでお主、上級魔人を倒し、災害級の岩竜を倒し、さらに竜人族を救い、魔王をも瀕死に追い込んだそうじゃな。もうこの国にお主より強い者はおらぬかもな。何か欲しいものはあるか?爵位でも土地でも金でもなんでもあるぞ。」

「いえ。ありがたい申し出ですが私にはもったいないです。」

「遠慮するな。娘を助けてくれたのだ。」

「私は冒険者になるのが夢なのです。なので貴族になるつもりはありません。」


貴族になって王国に縛られるより冒険者になって世界中を回って魔神を討伐しないといけない。


「そうかそうか。ヘレネが言っていた通りだな。わざわざ危険な冒険者になることを選ぶなんてめずらしい奴だな。」

「え、ええ。」

「そうだな。前々から決まっていた通り、ヘレネと婚約することを発表する。また、セルス=アングルスに賞金1000万クロノスを与えることとする。魔人戦や竜人族の里の救出などから判断し、Sランク冒険者となることを許可し、勇者の称号を与える。」

「えっ?」

「お主の活躍から見るとこれでもすくないぐらいだぞ。」

sランク?勇者?えっ?そんなのに俺が?過大評価な気がするけど…。まあ、魔神討伐するときには勇者なほうが都合がいいか。なら勇者になって損はないか。

「そうですね。謹んでお受けいたします。」

「本当か!皆のもの。この、セルス=アングルスを『武の勇者』に任命する。安心するが良い。この者が居ればどんな敵でもきっと倒すだろう。」

「はっ。」


無駄にハードルが上がった気がするのですが。魔神には手も足も出ないのに。


「新しい勇者の誕生を記念して、今宵パーティーを開催する。そこでヘレネとの婚約も発表することにする。」


そうして国王との謁見は終わった。


「セルス。すごいね。勇者に任命されるなんて。」

「いや〜。そんなことないよ。みんながいたから、だと思うよ。」

「これからは勇者様って読んだほうがいいかな?」


アテネがニヤニヤしながら行ってくる。俺が嫌がるって知りながらやってるな。勇者って呼ばれるのは流石にイタすぎる。心に傷が…。


「そうだ。俺、新勇者誕生記念パーティーに参加するんだよね。俺に似合う服を選んでくれない。」


パーティーの主役がダサかったら国王にも申し訳ないからね。流石にきれいにしないと。


「いいよ。」


俺はアテネに服を選んでもらったり、髪を整えてもらったりして、パーティーにそなえた。我ながらなかなかマシになったのではないかと思う。


「これから、新勇者の誕生を記念したパーティーの開始を宣言する。」


ついにパーティーが始まった。


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