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プロローグ Ⅰ
初めて彼女と顔を合わせた日。
私は打ちのめされたような気持ちになった。
ああ、なんでこんな人が、この世界に居るのだろう。
ああ、どうしてこの人が、私の前に現れてしまったのだろう。
見たくなかった。知りたくなかった。理解したくなかった。
こんなにも高潔で、こんなにも純粋で、こんなにも尊い存在があるだなんて。
けれど、触れてしまったのなら、もう目をそらすことなど出来なかった。
私が存在する意味、私がここにいる意味を、余すこと無く叩きつけられて。
「あなたを、何があっても。守ります」
そう誓う事以外、出来ることはなかったのだから。