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死ぬということ Ⅸ
▽
ふと気づくと、私は川辺に立っていた。
「あれ?」
ここは――ああ、そうだ、いつもアレンと、会っていた場所。
「クラウナ」
背後からの声に、私は振り向く。
どうしたんだろう。
何故こんなに、胸が高鳴るのだろう。
何故こんなに、愛おしい気持ちが湧いてくるのだろう。
何故こんなに、身を焦がしそうな寂しさで、一杯になるのだろう。
「ああ、アレン」
「ごめん、待たせたね」
「別に、待ってなんか居ないわ、ええ、待ってなんか」
嘘だ、ずっと待っていた。
あなたに会いたかった。
「……ねえ、アレン」
「何だい、クラウナ」
私は、アレンに、手を差し出した。
「あなたを愛しているわ、ずっと、例え殺されたって、愛してる」
「俺もだよ、クラウナ。君を愛してる。たとえ死んだって、君を」
その言葉だけで、ああ、きっと私は。
地獄の底に行くとしても、救われる。