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96:アルメコウ脱出と反省会

本日は10話更新です。

こちらは3話目です。

≪第三坑道・アルメコウからの脱出に成功しました≫

≪インベントリのアイテムをラボの倉庫に移送します≫

「はぁ、酷い目にあった」

 特殊弾『緊急脱出弾』の効果によって俺は無事に第三坑道・アルメコウから脱出した。

 で、脱出した俺はラボに立った状態で現れた。


≪集図坑道・ログボナスへの進入許可が与えられます≫

「ん? アルメコウをクリアしてないのに新しい坑道への進入許可が出たのか」

『ブン。そのようですね。詳細は文章で出しておきますが、集図坑道・ログボナスは素材坑道・デイマイリ同様に一日一度だけ挑める坑道のようです』

 と、追加アナウンスが入った。

 詳細については後で確認しておくとして、集図坑道・ログボナスか……一日に一度挑めること、集図坑道と言う名称、この二つを併せて考えると、設計図を集めるための坑道と考えてよさそうか。

 反省会と後処理を終えたら、一度挑んでみよう。


「さて反省会だが……準備不足以前だな。現状の俺だと第三坑道・アルメコウはクリア不可能だ」

『ブーン、言い切りましたね。トビィの技術ならなんとかなりそうではありますけど……』

「技術だけでどうにかなる範囲を超えているって事だ」

『ブーン、技術だけでどうにかなる範囲を超えている、ですか』

 俺はアバターに手をかざし、ゴーレムからアバターに意識を移す。

 そして、街坑道・ヒイズルガへと移動。

 自然溢れる北エリアから適当に移動して、目についた店に入り、一応配信中という事で、他のプレイヤーに乱入されないように個室へと移動。

 適当な飲食物を頼んでから、ティガに今回の探索のデータを出してもらった。


「後で検証班や掲示板で裏取りはしてみるが、恐らく第三坑道・アルメコウには、どのフロアにも最低一種類、事前に出現する事を認識すると共に、対策を準備しておくことが前提になっている魔物。ある種の強敵枠が存在していると思う」

「ブーン、今回だと、パンプキン、シルリダー、ツリホッパですか?」

「ああ、その三体だ」

 さて、改めて自分の探索を見返してみるが……うん、やっぱりあれ以上進まなくて正解だな。

 あれ以上進んでいたら、確実に死んでいた。


「パンプキンは属性攻撃が必須の相手だった。まあ、フロア1って事で手加減は入っていたと思うが、属性攻撃がないなら逃げ一択だった。そして、属性攻撃があっても、強力な範囲攻撃への対処法を正しくやる必要があった」

「ブン。確かにそうですね」

 強敵枠の中ではパンプキンはまだマシだったとは思う。

 しかし、それでも対処に間違えれば死んでいたのだから、強敵枠でいいだろう。


「シルリダーは坑道構造が露天マップかつ水場でシナジーがあったのも大きいが、対処を間違えていたらどんどんランクアップして状況が悪化する魔物だったな」

「ブン。ブルーレイヴンをもう一体食べられていたら、あの戦闘の流れは大きく変わっていたと思います」

 シルリダーも実は強敵枠の中ではマシだった疑惑がある。

 ただ、俺にとってマシだったと言うだけで、即死効果を有する丸呑みに、高威力の範囲攻撃である地震は、ゴーレムの構成によっては抗いようのない攻撃になってしまうだろう。

 おまけに他の魔物を飲み込んでのランクアップもあったわけだし、やはり強敵枠だ。


「ツリホッパは……露天であったこと、バーナコに加えてもう一種類の遠距離攻撃持ちの魔物が居たのが原因だったとはいえ、俺の手持ちじゃどうしようもない相手だった。流石に四方八方から撃たれたら、避け切るのは無理だ」

「ブブ。それでも倒して、脱出を果たしてのですから、トビィは優秀だと思いますけどね」

 ツリホッパは地形の問題もあったが、俺との相性が悪すぎる。

 今回はドローンホーネットのおかげで何とか出来たが、俺の戦闘スタイルは相手の攻撃を回避しながら接近し、近距離攻撃で倒すというものだ。

 よって、接近する事すら許されず、認識加速も発動できないような弾幕は、俺にとっては天敵の一つと言えるし、俺の処理速度を超えるような物量で押し潰してくるような魔物もまた天敵と言える。

 では、ツリホッパと言うと……自分の身は隠して、他の味方に俺の位置を教えるという立ち回りなので、正に俺にとっての天敵と言えた。


「かもな。だが、突破できなかったのは事実だ。だから、突破できるようになるために必要なものが何かは考えないといけない」

「ブーン、必要なものですか。具体的には?」

「そうだな……とりあえずは知識だな」

 次の挑戦ではツリホッパが出てこない。

 そんな幸運に期待するのは愚か者のする事と断言していいだろう。

 そして、ツリホッパ以外にも俺の天敵になるような強敵が出現する可能性は無視できるようなものではない。

 と言うか、第三坑道・アルメコウは全部で10フロアあるのだから、自分と相性がいい魔物だけが出る可能性なんて、宝くじで一等を当てるようなものなので、相性が悪い魔物が出てくる前提で動くべきだ。

 で、そんな坑道だからこそ、未だに第三坑道・アルメコウの攻略者が出てこないのだろう。

 なにせ、クリアしたくても、クリアするために必要な準備すら分かっていないのが現状なのだから。


「ブン。知識ですか」

「ああそうだ。どんな魔物が居るか、その魔物がどんな能力を持っているのか、どう対処すればいいのか。しかもプレイヤーの知識だけじゃなくて、坑道予測を機能させるためにデータを集める必要もある」

「ブン。なるほど」

 つまり、今の俺に必要なのは知識だ。

 どんな魔物が存在しているのか。

 どう対処すればいいのか。

 それを知らなければ、対策も何もあった物ではない。


「ブーン。では、坑道予測を機能させるためにも、撤退を前提として何度も第三坑道・アルメコウに潜る必要がある、という事ですね」

「そういう事だな。で、その先の対策については……データが集まってからだな」

「ブン。分かりました」

 ちなみにだが、坑道予測を機能させるためには、最低でもサポートAIが魔物の名称を教えてくれるぐらいに相手に近づく必要があるらしい。

 よって、次回以降はバーナコやツリホッパは坑道予測に出てくるが、フロア3に居た他の魔物は依然として不明のままであるらしい。


「さて、設計図を見て行くか。何かいいものがあるといいんだが……」

 まあ、反省会はこんなところか。

 では、フロア2とフロア3で手に入れた設計図の確認をしていくとしよう。

04/04誤字訂正

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