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8:ゴーレム換装

本日四話目です。

『じゃあ、次はコボルトアームを見てみるか』

『ブン。ちなみにマテリアルにもフレーバーテキストはありますが、どうしますか?』

『あ、じゃあ。そっちが先で』

 次に俺はコボルトアームRとL……ではなく、先に岩と緋炭石のフレーバーテキストを見ることにした。

 岩は今の俺のゴーレムの構成物質であり、それのフレーバーテキストを読むことで、岩の特性を理解すれば、よりよい殴り方を出来るようになるかもしれない。

 緋炭石はゴーレムの燃料であり、現実にはない物質、おまけに『Scarlet(スカーレット) Coal(コール)-Meterra(メテラ)082』……長いからスコ82と今後は略すか……スコ82における重要物質。

 これのフレーバーテキストには友人の言うスコ82のきな臭い部分が詰まっているかもしれない。

 よって両方とも、見られる内に見ておいた方がいいだろう。

 と言う訳で閲覧。



△△△△△

種別:マテリアル

分類:鉱石系


様々な物質が集まることによって出来上がる物質。

特定の物質だけで作られていないからこその強みと弱みを持つが、何よりも重要なのは入手が容易な事だろう。

なお、本作『Scarlet Coal-Meterra082』では火成岩も堆積岩も岩として扱い、その性質に差は存在しない。

▽▽▽▽▽



『欲しい情報は得られましたか? トビィ』

『あー、まあ、詳しくやるとそれだけでデータ量がとんでもないことになるし、不便さが目立つから、運営は楽な方を選んだ、と言うのはとりあえず理解した』

『ブン。それは嬉しい話です』

 岩のマテリアルのフレーバーテキストで重要なのは、岩の成分による違いが生じないという事か。

 岩の成分次第じゃ特定方向からの衝撃で簡単に割れたり、強度に大きな差があったりするからな。

 そこまで細かく作りこむと、面倒になるだけと判断したんだろう。

 では次は緋炭石だ。



△△△△△

緋炭石

種別:マテリアル

分類:特定物質


緋色に輝く石炭に似た物質。

細かくすり潰した上で加熱することで、ほぼ100%エネルギーに変換することが可能であり、非常に良質なエネルギー源と言える。

非常に脆いため、ゴーレムの体を構築する材料にはならない。

他の物質よりも高価格で取引される。

▽▽▽▽▽



『ふうん……ティガ。細かくすり潰した緋炭石を俺たちが扱う事は可能なのか?』

『ブブ……いえ、ブン? トビィ、今のトビィには許可されていないコンテンツが回答に含まれているため、ティガは回答に窮しています。なので、現状では扱えないとしておきましょうか』

『そうか。じゃあ扱えるようになったら教えてくれ』

『ブン。分かりました』

 粉末にして加熱すればエネルギーになる、ね。

 今は扱えない、高値で取引される、きな臭いにおいが漂ってくるのはこの辺か?

 けれどスコ82は結局ゲームだ。

 別に何もないと思うんだがなぁ。

 ま、岩と緋炭石についてはこの辺にしておいて、コボルトアームを見るか。


『次はコボルトアームだな』

『フレーバーテキストは設計図状態でもパーツ状態でもほぼ変わらないと言っておきます』

『そうか。じゃあ、とっとと作ってから見るか』

≪コボルトアームRを作成します≫

≪鉱石系マテリアル:岩を10個使用します≫

 俺はまずコボルトアームRの作成を選択。

 10個の岩を材料に、今の俺の腕であるビギナーアームより若干細い腕が作られる。


≪コボルトアームR(岩)を作成しました。ビギナーアーム(岩)と交換しますか?≫

 イエスっと。

 選択と同時に、俺の右腕が手のないビギナーアームからコボルトアームRに換装される。


≪ビギナーアーム(岩)を分解しますか?≫

 こっちはノー、っと。

 分解することで岩は手に入るが、その数は5個だけ。

 もしかしたらコボルトアームが気に入らず、戻す可能性もあるからな。

 今はまだ残しておこう。


『じゃ、左腕もだな』

≪コボルトアームLを作成します≫

≪鉱石系マテリアル:岩を10個使用します≫

≪コボルトアームL(岩)を作成しました。ビギナーアーム(岩)と交換しますか?≫

≪ビギナーアーム(岩)を分解しますか?≫

 処理については右腕と同様。

 こうして俺の両腕は、ビギナーアームからコボルトアームに換装。

 若干細くなると同時に、鉤爪の生えた指を持つ手になった。

 軽く動かしてみるが……うん、いい感じだな。

 では、フレーバーテキストを見ておこう。



△△△△△

コボルトアームR

種別:パーツ

部位:右腕


犬獣人(コボルト)の腕を模して造られたゴーレムの腕。

犬の前足と人の腕をを足して二で割ったような腕は、物を持つことは一応出来る程度で、鉤爪は相手に深手を負わせることは出来ない。

▽▽▽▽▽



『トビィ。一応言っておきますが、コボルトアームはそれほど優れたパーツではありませんので、ご注意を』

『かもな。だがそれでもビギナーアームよりは使える。何せ手があるからな』

『手ですか?』

『ああ、手だ。殴る場合には関節が多い分だけ強度が落ちるが、手にはそれ以上の価値があるからな。これでより殴りやすくなった』

 なお、コボルトアームのRとLでフレーバーテキストに差はなかった。

 どうやら、左右の腕で明確な差がなければ、フレーバーテキストにも差は出ないらしい。

 なんにせよ、これで今の俺のゴーレムはこうなった。



△△△△△

トビィ

燃料:89/100


頭部:ビギナーヘッド(岩)

胴体:ビギナーボディ(岩)

右腕:コボルトアームR(岩)

左腕:コボルトアームL(岩)

脚部:ビギナーレッグ(岩)

▽▽▽▽▽



『さて、次の階層に移動するか』

『ブン。移動しましょう』

 俺は軽い準備運動を終えるとエレベーターに乗って、次の階層へと移動した。

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