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77:ブロンズゴーレム

「トビィ。配信、開始されました」

「分かった」

 無事に配信が始まり、早速視聴者一名が入った。

 たぶんフッセの家の使用人さんだな。

 じゃ、もう視聴者の事は気にせず、俺のやりたい事をやるとしよう。


「さて、ゴーレムの構成を弄るわけだが……ティガ、確認だ」

「ブーン? なんでしょうか?」

「ゴーレムのパーツを分解すると、使われていたマテリアルは一部が返ってくる。だったな」

「ブン。その通りです。正確には製作に必要な数の半分、小数点以下切り捨てで変換されます」

 確認その一は分解について。

 なんだかんだでこれまではやりそびれていたしな。

 これを機に確認をしつつやっていこう。


「もう一つ確認。ラボの倉庫に入っているマテリアル、パーツ、パーツの設計図は現地ラボでは使用できない、だったよな」

「ブン。そちらも合っています。例えばトビィがナックルダスターを作成し、それをラボの倉庫に入れていたら、坑道に入って出てくるまで、そのナックルダスターは勿論のこと、そのナックルダスターの設計図も使用不可能であり、新たに作る事が出来ないと言う事ですね」

 確認その二は現地ラボの倉庫に入っているアイテムについて。

 まあ、当然の仕様ではある。

 なんにせよ、この二つの確認事項から一つ言えることがある。


「じゃあやっぱり今のゴーレムの構成のうち、真鍮・電撃で出来ているナックルダスター以外は一度全部解体していいな」

「ブン。そうかもしれませんね」

 決闘坑道・コロマスンで使うとか、希少マテリアルを大量に使用しているパーツだとか、そういう理由でもなければ、ゴーレムのパーツは設計図の状態にしておき、必要になってから現地ラボで作れるようにしておいた方がいいという事だ。

 そんなわけで、俺は現在のゴーレムをほぼ解体した。

 具体的にはナックルダスターとケットシーテイル以外だ。

 なお、ケットシーテイルについては密かにと言う形を取っている。

 あれはある意味切り札と言うか、懐刀だからな。


「それでトビィ。どのようなゴーレムを作るのですか?」

「どのようなも何も、構成については今までとほぼ変わらないな。ただ、今日は第三坑道・アルメコウに潜る予定があるからな。そちらでも戦えるように使うマテリアルは考える」

 では、ゴーレムの構成を弄る。


「体の方はデイムビーヘッド、デイムビーボディ、ラミアアームR、オークレッグまでは変えなくていいな。左腕は……折角だからパンプキンアームLにしておくか」

 折角なのでプレビューを出しておく。

 と言っても、見た目はこれまでとほとんど変わらないな。

 蜂を模した鎧兜を身に着けた女が居て、その左腕が植物の蔓を束ねて作ったような代物になっているだけだ。


「何で作りますか?」

「青銅で作る。青銅なら第三坑道でもある程度は戦えるだろうし、補充も出来るだろうからな」

「ブン。分かりました」

 で、選択した構成通りにゴーレムを作成。

 使うマテリアルを真鍮・電撃ではなく青銅にしたのは、性能と入手のしやすさを鑑みての事だ。

 真鍮・電撃だけで作ると電撃属性が付く分だけ戦闘能力は確実に上がるが、電撃属性以外の真鍮では修理が出来なくなってしまうからだ。

 なお、作成直後にいつも通りのカラーリングがされるため、見た目では青銅だとは分からないだろう。


≪条件を満たしたとして称号『ブロンズ』が与えられます≫

「称号が手に入りましたね」

「全身を岩以外の同一のマテリアルで作れば、という事だろうな。まあ、気にしなくていいだろ」

 称号についてはスルーで。


「次は武装だな」

「ブン。どうしますか?」

「そうだな……折角だから、グレネードホルダー、ドローンホーネット、ドローンネスト-ホーネット、シャープネイル、この四つを作るか。問題は使うマテリアルだな」

 続けて武装を作成。

 使うマテリアルについては……少し悩んだ後、グレネードホルダーは銅、シャープネイルは真鍮・電撃にした。

 で、作り終わったところで、解体せずにそのまま残していたナックルダスターとケットシーテイルを装備させる。

 前者は堂々と、後者はこっそりだ。

 具体的には右手にナックルダスター、左手にシャープネイル、腰にグレネードホルダーをつける。

 問題はドローンホーネットとドローンネストだな。


「んー……ドローンネスト-ホーネットは別に使い捨てじゃないし、そう壊れるものでも無いんだよな。そして、モロトフラック並みのサイズがある、と」

「ブン。それなりに大きさがあります」

 ドローンネストのプレビューを見てみたが、思っていたよりも大きい。

 このサイズだと背中に背負う以外はバランスが悪くなってしまうだろう。

 となると……これは銅で作るか。


「さて、ドローンホーネットはどうするか。ぶっちゃけこっちは結構な確率で壊される可能性があるよな?」

「ブン。ありますね。完全に壊される可能性も、その場で修理できないレベルで壊される可能性も、傷つく可能性も、どれもあり得ます。ドローンと言うのはそう言うものですから」

「だよな」

 ドローンホーネットはいっそのこと壊される前提で動いた方がよさそうではあるな。

 ドローンホーネット単体で偵察をするにしても、奇襲や陽動をやらせるにしても、無事に帰ってこられる可能性はそんなに多くなさそうだ。

 となると、壊される前提、大量のマテリアルを消費する前提で作るべきで……現地で回収しても使い道が少ないマテリアルで作るのがよさそうだな。

 うん、肉で作るか。


「じゃ、これで」

「ブン。分かりました」

 という訳で、俺のゴーレムの背中にハチの巣状の物体が付けられ、その内側に肉で出来たハチが収められる。

 なお、どちらも作成直後にカラーリングが変わり、それっぽい色になる。

 そして、色が変化した結果としてだ。


「翅が付いていないデイムビーボディなのに、翅が付いているようになったな」

「ブン。確かにそう見えますね」

 元々蜂っぽい見た目が更に蜂に近づく事となった。


「さて、称号も変えて、試運転も兼ねて素材坑道・デイマイリに向かうか」

「ブン。分かりました」

 さて、新しいゴーレムでいきなり第三坑道・アルメコウに挑むのも危険だろう。

 なので俺は試運転も兼ねて素材坑道・デイマイリへと向かうとした。



△△△△△

トビィ

称号:『キャンディデート』

燃料:100/100

アドオン:オートコレクター


頭部:デイムビーヘッド(青銅):魔力-魔術-境界-防御

胴体:デイムビーボディ(青銅):電撃-生物-外部-DoT

右腕:ラミアアームR(青銅):物理-生物-内部-DoT

左腕:パンプキンアームL(青銅):侵食-物理-内部-拘束

脚部:オークレッグ(青銅):拒絶-魔術-境界-防御


武装:ナックルダスター(真鍮・電撃):電撃-化学-外部-強化

武装:シャープネイル(真鍮・電撃):氷結-魔術-境界-強化

武装:グレネードホルダー(銅):侵食-化学-外部-遮蔽

武装:ドローンネスト-ホーネット(銅):魔力-化学-境界-召喚

武装:ドローンホーネット(肉):電撃-化学-外部-DoT

武装:ケットシーテイル(粘土):氷結-生物-内部-強化

▽▽▽▽▽



「地味にUIが変更されてるな」

『ブン。見やすさを優先したとの事です』

「なるほどな」

 なお、エレベーターに向かう際にこんな会話があったのは余談である。

03/19誤字訂正

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