65:自己紹介
「さて、名前含めて、この場に居る面々がどんな人間なのか分からないでしょうし、まずは自己紹介からしておきましょうか。私の名前はハンネ。検証班の一員であり、今回はトビィを招いてこの場を開かせてもらったわ。ちなみにプレイヤーとしてはまだ第二坑道のフロア4までしか行けてないわね」
「ユーヒョッヒョッヒョッ。ハンネのサポートAIのヘールだ。よろしくな」
部屋には俺含めて五人のプレイヤーとそれぞれのサポートAIが居る。
で、まずは自己紹介という事で、ハンネが自己紹介をして、自分の飲み物として用意したコーヒーを一口飲む。
ちなみにハンネは俺より少しだけ背が低く、白い髪に青い目、普通に街に居るぐらいのおしゃれな女性の格好と言うアバターだ。
そして、サポートAIであるヘールはデフォルメされたユキヒョウの姿をしていて、今も奇妙に笑っている。
「じゃあ次は俺だな。俺はトビィ。格闘による戦闘を得意としているプレイヤーで、現在の進行度は第二坑道・ケンカラシを終えたところ。フッセとネルの二人は俺が招いた。今日は来てくれてありがとうな」
「ブン。トビィのサポートAIのティガです。よろしくお願いします」
続けて俺が自己紹介。
と同時に、見覚えのない一人は俺が招いたのではないとは伝えておく。
なお、俺の格好は先日に着替えたものから変わりがないし、ティガの見た目もそのままなのだが、ハンネ含めて誰も気圧された感じがない。
全員肝が据わっているようだ。
ちなみに俺が飲んでいるのはコーラだ。
「では先に私様から。私様の名前はフッセ。プレイスタイルとしては現状では銃器の二刀流ですわね。進行度は第二坑道のフロア5.5。でも、ご安心を私様なら次は必ずクリアできますわぁ! おーっほっほっほっ!」
「ご主人」
「と、先に伝えておきますが、こちらの彼女は私様が招いたプレイヤーです。それと普段は『
「サライオンだ」
三番目はフッセだが、やはり濃い……。
ちなみに見た目は金色の髪をドリルの形でまとめ、赤い目はとても気が強そうであり、そのまま夜会に来て行けそうなドレスを着ている。
飲み物としてストレートティーを選んでいる事もあって、お嬢様と言う雰囲気がある。
まあ、正確にはお嬢様はお嬢様でも悪役令嬢と言われそうなタイプのお嬢様だが。
なお、サポートAIのサライオンはオレンジ色を基本色としたライオンだ。
「……。僕はネル。隠密と狙撃。進行度は第三坑道のフロア1。効率よく進められるように情報が欲しい。よろしく」
「……」
「こっちはマクラ。普段はじっとしてる」
四番目はネル。
が、最低限の情報だけ出して、豆乳っぽい感じの飲み物を飲んでいる。
なので見た目などから判断するが、茶髪、地味で眠そうな感じの黄色の目、芋ジャージと呼ばれそうなタイプのジャージを身に着けている。
サポートAIのマクラはデフォルメされた巨大芋虫で抱き枕のように見える。
これは……怠惰系とは少し違う感じだな。
「最後はウチやね。ウチはリツ。所謂商人プレイヤーや。今回はフッセはんがメッセージを受け取った時に偶々一緒に居て、それで招いてもらった感じや。進行度は第二坑道のフロア3もマトモに探索できんレベルやけど、色々なゴーレムのパーツの設計図は取り揃えておるから、是非見て行ってくれなー」
「デンクと申しますー。計算ならお任せをー」
最後に俺が招いたプレイヤーではない女性、リツ。
見た目は全身黒ずくめの魔女衣装で、腰下まで伸びている髪も黒、綺麗な緑色の目だけが浮いているように見える。
サポートAIのデンクは、こちらもまた黒一色のカラスだ。
なお、とにかく黒が好きなのかと言えばそうでもないようで、飲み物については赤くて透明で独特の香りがある液体……ワインを模した液体を飲んでいるようだ。
それと、本人の申告と立ち振る舞いを見る限り、リツのゴーレムを扱う能力はそこまで高くなさそうだ。
フッセとネルの二人と違って隙が多い。
「これで自己紹介はいいわね。では本題だけど、この場は情報や設計図の交換をするための場になっているわ。ただ、情報については本人は大したことが無いと思っているパターンも多い。という訳で、ヘール」
「ユーッヒョッヒョウッ、こんな感じだな」
さて本題だが、まずはハンネの求めに応じる形で、ヘールが何かしらの情報を資料の形で出力する。
内容は……直近のハンネの坑道探索をまとめたものか。
検証班の四人で第二坑道・ケンカラシのフロア4まで探索し、探索途中で
「今見てもらった通り、サポートAIに頼めば、探索中に何があったのかを出力してもらえるわ。トビィ、フッセ、ネルの三人には、出来ればこの形で資料を出してもらえると助かるわね」
「へー、そんな機能があったんだな。ティガ」
「ブン。用意はしてありました」
「これは便利な機能ですわね。この情報を得られただけでも、この場に来た私様の判断は正しいものでしたわね。ではサライオン、さっそくお願いしますわ」
「心得ました」
「……。マクラ」
「……」
なるほどこれは便利な機能だ。
という訳で俺、フッセ、ネルの三人は早速資料を出力して、ところどころ映像も流れていく紙の形で出す。
「三人とも助かるわ。ありがとう。じゃあこれを見て、それぞれが気になる場所があれば、お互いに質問をしていってみましょうか」
で、さっそく読み始めるわけだが……。
「あー、ウチが言うのもあれなんやけど、三人とも自分の手札を晒すことに躊躇いとかないん?」
「別に問題ないだろ。今の段階じゃまだまだ隠しておきたい手札なんて無いしな」
「トビィに同意いたしますわ。今は手札以前に山札を増やすべき時期ですわ」
「……。そもそも、情報提供が嫌ならここには来てない」
「本当に三人ともありがとうね。いやぁ、読み応えのありそうな資料ね」
俺、ハンネ、フッセ、ネル。
四人とも戦闘スタイルが大きく異なるため、中々に読み応えのある資料となった。
トビィとティガ(蜂)
ハンネとヘール(ユキヒョウ)
フッセとサライオン(ライオン)
ネルとマクラ(芋虫)
リツとデンク(カラス)
以上五人と五体が本作のメインメンバーとなります。