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47:フロア5へ

「シギャアッ……」

「よっわ……ケットシーと比較して弱すぎるだろ。お前ら……。いや、気持ちよく殴れたけどさぁ……」

『ブン。ケットシーと比べたら、弱いのは否定できませんね』

≪生物系マテリアル:鱗を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:肉を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:骨を1個回収しました≫

≪設計図:特殊弾『嗅覚強化』を回収しました≫

≪設計図:リザードスキンを回収しました≫

 五体のヴァイオレットの魔物との戦闘はあっさりしたものだった。

 いやうん、確かにヴァイオレットハウンドの足の速さと牙の鋭さは中々のものだったし、ヴァイオレットリザードの力強さとタフネスも中々のものだった。

 だが悲しいかな、こいつらは四足獣であり、その攻撃手段は限られたものである。

 そして、この場には同時に襲い掛かられないようにするための遮蔽物と罠がたっぷりあったし、俺自身にもモロトフラックと言う相手のルートを制限出来る武器があった。

 結果、あっさり倒せてしまったのである。


『ブブ。ですがトビィ。油断は禁物ですよ』

「ああ分かってる。四足獣が弱く感じているのは、奴らが武器も魔法も使えず、連携を指揮する個体も居なかったからだ。これらが居たら、状況は幾らでも変わる」

 まあうん、偶々だ。

 偶々楽に勝てたに過ぎない。

 本来ならもっと危険な相手だったのは間違いない。

 現に前のフロアに現れたシープはあれほどに危険だったのから。


「とりあえず探索再開だ」

『ブン』

 探索を再開した俺は、岩のマテリアルタワー、レコードボックス、三戦目としてヴァイオレットリザードのみの編成などに遭遇していく。

 岩のマテリアルタワーについては普通に粉砕。

 レコードボックスは言及する価値があるものは並ばなかったので、一応使う可能性がありそうな特殊弾『装甲貫通弾』を回収。

 ヴァイオレットリザードは……もはや何も言う事はない。


「しかしアレだな。フロア3では紫と菫が混ざって現れていた。フロア4では菫だけになった。となると、次のフロア5は菫と……その上位のランクが混ざってきそうだな」

『ブブ。お答えできません』

「質問じゃないから安心しろ」

 で、俺はようやくフロア5に行くためのエレベーターを見つけた。

 しかし、降りる前にこの先で待っているものを少し考えてみよう。


「……。魔物はパープルになって幾らか賢くなった。ヴァイオレットのランクになってシールドゲージを得た。となると、次のランク……たぶん青だな。ブルーのランクになった時も、何かしらの能力を得る可能性は高いだろう。何が来るかは……流石に読めないか」

『……』

 たぶん色的には青だろう。

 白、紫、菫と来たなら、もっと青寄りになるだろうが、あまり細かく刻み過ぎてもあれだろうからな。

 とりあえず青色の体表を持つ魔物が居ても気が動転しないようにはしておこう。


「ま、行くか」

 まあ、結局のところは行ってみるしかないか。

 ただ、相手のスペック次第では一発ぶん殴ったら、火炎瓶を山ほど投げながら退く事は考えておこう。

 破れかぶれじゃ、気持ちよく殴れない。

 という訳で、俺はエレベーターに乗る。


「……」

『トビィ。念のためにお伝えしておきますが、先ほどの現地ラボの予測にはオークが含まれています。ご注意を』

「そう言えばそうだったなぁ……ブルーオークとかなら本気で逃げた方が……いや、そもそも見つからないように立ち回るべきかもな」

 ちなみにだが、ティガの言うとおり、フロア3.5の現地ラボではオークの出現が予測に含まれていて、他は全部???だった。

 オークはヴァイオレットでもあの強さだったわけだし、次のランクになったオークが複数居た場合、今の俺が戦うのは止めた方がいいだろう。

 流石に勝てるとは思えない。


「ま、出たところ勝負だ」

 やはりデータ不足に装備不足は痛い。

 ナックルダスターが真鍮・電撃製になっていたり、適応する特殊弾があったりすれば、もう少し話は違ったかもしれないが……。

 特殊弾『睡眠』とハードバトンの組み合わせを作らなかったのは俺の判断なのだから、仕方がないな。


「さて……」

 エレベーターが順調に下っていく。

 フロア5が見えてくる。

 構成はフロア4と同じ大型家電量販店。

 エレベーターが着く場所は部屋の中心のようだ。


「これは厳しいかもなぁ……」

『ブン。厳しいかもしれませんねぇ……』

「「ブブブブブ……」」

「「ブゴッ」」

 部屋には四体の魔物の姿があった。

 その内二つは、蜂人間とでも言うべき、小柄な成人女性と蜂が混ざったような姿をした魔物であり、菫色と黒の縞模様の鎧を身に着け、針あるいはランスのような外見をした、見るからに青銅と言った色合いの槍を手に持ち、背中の翅を激しく震わせながら空を飛んでいる。

 もう二つは形の造形は明らかに猪であるが、その毛皮の色は海のように綺麗な青色をしており、牙からは稲光のようなものが時々迸っている。


『ブン。では名前を。蜂人間の方はヴァイオレットデイムビー。猪の方はブルーボアになります。ブルーボアの方は環境の影響を受けて、電撃属性を帯びているようです』

「そうかい」

「「ブーン!」」

「「ブゴォ!!」」

 逃げ場も隠れ場もなかった。

 故に、デイムビーたちとボアたちはエレベーターがフロア5に完全に到着して、俺が行動可能になると同時に、こちらに向かって突撃してきた。

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