46:様々な考察
「しかし、今回手に入れた設計図はどれも気になる代物ではあるな」
『ブン、そうですね。ブブ、ですが、詳細確認が出来るのは現地ラボに着いてからですよ』
「そこは分かっているから大丈夫だ」
両脚の修復が進むのを待つ中、俺は先ほどの戦闘で手に入れた設計図の名称を改めて確認する。
手に入れた設計図は三つ、ヒールバンテージ、リボルバー、ケットシーテイル。
「あいつはやっぱり回復能力持ちだったとして……」
まずヒールバンテージ。
名前が
問題は具体的にどんな回復能力を持っているかだが……シールドゲージの回復なら万歳、傷の回復ならゴーレム的には残念、と言うところか。
「リボルバーはどうでもいいとして、ケットシーテイルねぇ……」
リボルバーはそのままだろうから、詳細を見るまではどうでもいいか。
ケットシーテイルは……猫人間の尻尾?
これが何の役に立つのだろうか?
こちらも詳細を見なければ、評価は出来ない感じか。
「出来ればケットシーヘッドが欲しかったな」
『ブーン。何故ですか?』
「何故ってそりゃあ、虎柄の犬顔よりも虎柄の猫顔の方がまだ様になるだろう? だから、俺が欲しがるのは当然だろう」
『ブン。なるほど』
しかし、頭部パーツがなかったのは残念だった。
ハウンドヘッドは別に悪くはないが、俺の趣味としてはネコ科の顔の方が良かった。
いやまあ、機能で言えば、長所短所はあれども、総合的には大した差はないのだろうけど。
と、此処で俺はこの手のゲームにおける定番要素の一つを思い出したので、ティガに聞いてみることにした。
「ティガ。敵のリポップはスコ82にはあるのか?」
『ブブ。第二坑道・ケンカラシにはありません。第二坑道・ケンカラシは比較的安定していますから』
「ふうん。それはつまり、もっと不安定な坑道なら、敵のリポップもあり得るという事か」
『ブン。が、トビィには未開放のコンテンツですので、詳細はお答えできません』
「だろうな」
どうやら敵のリポップ自体は存在するらしい。
しかし、第二坑道・ケンカラシでは起きない、と。
まあ、ここはまだ肩慣らしらしいからな。
起きないのは当然なのかもしれない。
「脚の修復は終わったな。よし行くぞ」
『ブン。分かりました』
だが、敵がリポップするとなると……稼ぎ行為が出来るようになると同時に、リポップする魔物の現れ方次第では、坑道内に居る限りは決して油断できない状態になるわけか。
厄介な話だ。
「と、ティガ。もう一つ確認なんだが……現れる魔物の数はソロとマルチで違うのか?」
『ブブ。同じです。坑道探索モードがソロでもマルチでも現れる魔物の数に影響はありません』
俺は通路を移動しながら、次の話をティガに振る。
すると返ってきたのは、俺の思っていた通りであるが、同時に厄介な話でもあった。
「影響なしね。そうなると、これは本格的に対策を講じる必要があるな」
『ブーン。対策ですか』
「ああ、対策だ。ソロで戦うなら、一人で多数の相手と戦うための準備が必要になる。まあ、一番手っ取り早いのはマルチで挑んで、こっちも数を生かして戦う事なんだがな。常にマルチで挑めるような性格を俺はしてない」
『まあ、トビィですからね』
今のティガの話で分かった。
スコ82と言うゲームは、ソロではなくマルチで攻略することを前提に組まれている。
バーサスやカオスだって、場所や状況によっては、他のプレイヤーを敵として見るのではなく、魔物を一緒に倒す共闘相手として見る必要があるかもしれない。
まあ、魔物を倒した後は即座に敵同士に戻るのだろうけど。
「とりあえず援護用のドローンぐらいは欲しいところだな……」
『トビィの持つドローン関係と言うとドローンネスト-ホーネットですね。肝心のドローンの設計図はまだありませんが』
「そこは地道に探すしかないな」
戦闘に関する諸要素を他にも考えると……。
リボルバーの存在を考えると、スコ82は近距離攻撃よりも遠距離攻撃が優位に立っている気配はある。
それと、認識加速込みでも相手の遠距離攻撃を避け切れない事を考えると、オークレッグのような耐久性が高いパーツによる受けて耐える方が主体になりそうな気配もあるな。
一撃重視か手数重視かについては現状では不明、ここはシールドゲージとの相性もありそうか。
まあ、この辺については、ソロとマルチ、どっちがいいかとは違って、今後の敵の火力次第になるか。
「さて次の部屋は……銅と緋炭石のマテリアルタワーか」
『ブン。回収しましょう』
≪特定物質:緋炭石を37個回収しました≫
≪鉱石系マテリアル:銅・電撃を8個回収しました≫
次の部屋に到着。
マテリアルタワーがあったので回収する。
と言うか何気に初めて1フロアで二か所目の緋炭石のマテリアルタワーがあった気がするな。
そして、銅の方も電撃属性付き。
うーん、銅・電撃はインベントリを銅とは別枠消費。
となると、やっぱり高難易度になってくると、色々と考える事がありそうだ。
「で、さらに次の部屋は……ハウンドと新顔か」
『ブン。ヴァイオレットハウンドにヴァイオレットリザードですね』
さらに次の部屋。
そこには三体のヴァイオレットハウンドと二体のヴァイオレットリザード……菫色の鱗を持つ巨大なトカゲが居た。